ドローンが農業分野でも活躍しているのをご存知でしょうか。
ドローンを使うことで、省人化や農薬散布の自動化など様々なメリットがあります。
今後も、農業分野でドローンは活躍するでしょう。
今回は、ドローンを農業で使う際のメリットについて解説します。
また、ドローンがどのような使われ方をしているのか実際の活用事例に関しても紹介します。
ドローンを農業で使うメリット
ドローンを農作業で使うことには様々なメリットがあります。
2019年には農林水産省が農業分野でドローンを使うことの有効性に気づき、産業用ドローン普及計画を立てました。
ドローンを導入したことで作業の効率化になった事例が多くあります。
代表的な事例は以下の通りです。
それでは詳しく見ていきましょう。
導入コストが安い
ドローンを農業用に購入するときの金額は、100万円から300万円程度です。
安いものだと50万円台から購入することが出来ます。
性能やバッテリー容量などによって金額は大きく異なるので使用用途に合わせた機体購入が必要となります。
維持費として保険料が70,000円から150,000円程度かかります。
もしも、事故を起したり、ドローンが故障してしまったりした時のために加入する必要があります。
定期的なメンテナンスも必要となり、最低でも60,000円以上はかかります。
今まで農業散布に使われていた無人ヘリコプターの場合、本体購入価格は10,000,000円以上となります。
仮に業者に頼んだとしても、年に数回ある農薬散布で多額の費用がかかります。
無人ヘリコプターは、本体価格に加えドローンと同様かそれ以上の保険料、維持費がかかるため、無人ヘリコプターに比べてドローンの方が低コストで導入することが出来ます。
少人数で作業が出来る
ドローンを用いた場合、ドローンの操縦士1人と補助者数名がいれば、ドローンを操縦することが出来ます。
従来の農作業での農薬散布は、タンクを担いでホースから農薬を散布していました。
複数人で数日かけて作業を行うため、農作業の中でも特に重労働とされてきました。
ドローンを使えば、農薬散布は1haあたり10分で作業が終了するため、大人数を必要としません。
また、複数台のドローンを同時に飛行させればさらに広範囲を短時間で農薬散布することが出来ます。
ドローンの購入費はかかりますが、人件費を大幅に減らせるためコスト削減にもつながります。
ドローンを活用することで、より早く、より少人数で作業が可能となりました。
夜間に自動操縦で散布可能
ドローンの自動操縦を用いて、夜間に農薬散布をすることが可能です。
寝ている間に、ドローンが農地の上を飛行して朝起きたら農薬の散布が完了していたということも可能です。
従来のように朝早に起床して一日中農薬散布を行う必要がないのは嬉しいですね。
飛行範囲の制限や異常が起きた時に危機回避機能が動作するように設定する必要があります。
農薬を均一にまくことが出来る
ドローンの性能が高いものは、高度なプログラムによって制御されているので均一に農薬をまくことが出来ます。
人がホースで散布する場合、農薬のまく範囲にムラが出来てしまうことが多くありました。
しかし、ドローンを使えば農薬を散布するノズルの制御や事前に設定したルートを飛行することが出来るので人よりも均一に農薬を散布することが出来ます。
農作物の状態をデータで管理できる
ドローンを農地の上空に飛ばして、モニタリングすることで農作物の状態をデータとして管理することができます。
広大な農地を歩いて、農作物の状態を管理するのは非常に時間と労力がかかります。
しかし、ある程度は農作物の状態を把握しておかないと、病気や害虫で栽培がうまくできず不作に終わる可能性もあります。
ドローンを使えば、リアルタイムで農作物の生育状況を把握して、肥料を与えるのに最適な時期などを知ることができます。
好きな時期、時間に飛行可能
ドローンは小型で、天候などの条件がそろえばすぐに飛行が可能です。
害虫や病気によって農作物に被害が及び、一刻も早く農薬をまきたいと思ったときにもすぐに対応が可能です。
外部業者に頼むと予約でいっぱいだったり、天候の影響で長期間の延長になってしまったりすることが多くありました。
ドローンを使えばいつでも好きな時期に好きな時間で飛行させることが出来ます。
農業機械が使用できなかった場所も入れる
ドローンを用いれば、すべて空中からの作業となるため土地の形は特に気にする必要がありません。
傾斜の大きい土地では農業用機械を利用したくてもできない場所がありました。
また、従来の農業用機械は大型のものが多く、小回りや狭い場所では不便でした。
ドローンは、小型で空中を自由自在に動かすことができるため今まで不可能だった作業が出来るようになりました。
ドローンは農業でどのように使われる?
ドローンは、小型で飛ばしたい時期や場所を問わず、飛行が出来ます。
主に農薬散布や農作物の運搬、種まきなどに利用されています。
ドローンを使えば従来よりも格段に効率的に農作業を行うことが出来ます。
代表的な活用例は以下の通りです。
詳しく解説します。
ドローンによる農薬散布
ドローンを飛ばして、農薬を農作物に散布することで効率的に農薬散布を行います。
政府は2018年時点でドローンによる農薬散布面積約2万7000haの土地を2022年には約100万haに広げるよう計画を立て、積極的に導入しています。
複数のドローンを同時に使うことによって、より広範囲でより短時間で農薬散布を行うことが出来るようになりました。
複数のドローンの場合、一定の間隔や隊形を維持しながら、効率的に農薬を散布することができます。
人による農薬散布に比べて、ムラができづらく、農作物へ均等に農薬をかけることができるので農作物の仕上がりも一定になります。
また、資金面においても農薬散布用にドローンを購入する場合、100万円から300万円の資金で購入することができます。
さらに、無人ヘリコプターに比べて、操作が簡単という特徴もあります。
ドローンの学校に通って、基礎的な知識と操縦方法を数日間で学べばドローンを操縦させることが出来ます。
農薬散布にドローンを用いることは、今後さらなる効率化と労働負担の軽減が期待されています。
農作物の受粉
平成29年から、ドローンによるリンゴの受粉を実験しています。
従来の農作物の受粉作業では、晴れた日に花が満開になっており、濡れていないタイミングを見計らって作業を行う必要がありました。
さらに、背丈の高い果樹の受粉作業は高齢者が多い農業において、非常に重労働の作業でした。
ドローンを使えば、一定の条件下での受粉作業でもすぐにドローンを飛行させて広範囲を短時間で終わらせることが出来ます。
背の高い果樹においても、ドローンなら空中を飛行させるため問題なく届けることができます。
実験では従来の手作業による受粉よりも9割以上は作業時間を減らすことに成功しています。
十分な結果が得られていることから、実用化に向けて検討されています。
肥料散布
肥料散布は、農薬散布と同様、ドローンによって空中から肥料を散布させます。
ドローンを使う前は、肥料をまく際に農地に踏み入れる必要があったため農作物を傷つけてしまう可能性がありました。
傷ついた農作物は、不良品として廃棄されてしまいます。
また、肥料を与える際に通る管理通路の設置は農地の縮小につながり、土地を有効活用できないのが問題点でした。
ドローンを使えば、農地に踏み入れることなく、空中から肥料を散布することができます。
管理用通路の設置も必要ないので、農地を無駄なく活用することが可能となります。
さらに、リアルタイムで農作物の生育環境や生育状況を把握することが出来るので、肥料を与えるのに適した時期を決定することが出来ます。
肥料散布を行う時に、AIによって肥料が足りない部分を検出し、必要最低限の肥料を農作物に散布することも可能となります。
肥料散布用のドローンは、農薬散布用のドローンと同じ機体を使うことが出来ます。
ドローンに付けるタンクの中身を変えればよいだけなので、無駄な購入コストがかからず、作業内容を簡素化することが可能です。
種まき
ドローンによる種まきはまだ実用化されておらず、検証段階にあります。
特に米の種まきに利用されています。
ドローンによる種まきは事前に種まきのルートを指定することが出来るため、種の散布にムラが出来ないという特徴があります。
農業用機械を使ったり、ビニールハウスを建てたりする必要がないので、大幅にコストを削減することができます。
また、大人数で時間をかけていた田植え作業も必要ないため人件費の削減にも繋がります。
農作物の運搬
農作物の運搬にもドローンが活用されています。
茶葉を収穫する農場で試験的に活用されています。
茶葉の収穫では、栽培後袋に詰めて運搬用のトラックまで持っていく必要があります。
重い茶葉を持って、トラックまで何往復もするのは重労働です。
ドローンを用いて作業を簡素化しようと、ドローンの下部にフックをつけて茶葉収穫後の袋を運搬し、トラックまで来たら袋を下すという動作をドローンによって実証しました。
往復作業がなくなったものの、茶葉が入った袋をドローンが持った時の飛行可能時間は20分程度しか持たないことが今後の課題となりました。
圃場センシング
圃場センシングとは、農作物を育てる前の土地に関して、様々な観点から農作物を育てるのに適した土地であるかどうかを判断する方法です。
AIを用いて栽培状況を分析することも出来ます。
作物の生育状況や土壌の窒素分布マップをドローンに搭載されたカメラで作成することができます。
土壌の状態などを総合的に判断して、農作物の収穫量を増やせるように活用します。
さらに、発育状況から想定される収穫量と農作物の味も予想することが可能です。
ドローンのカメラを使って害虫や雑草の検知を行うこともできます。
ドローンで撮影した画像を専用のソフトで解析し、害虫や雑草が発生している箇所を見つけ出し、ドローンを用いて検出された箇所だけに農薬を散布します。
農薬が必要な個所にポンポイントで散布することが出来るため、農薬の使用量を削減することが可能です。
害獣被害対策
ドローンの機能を使うことで、害獣の対策を行うことが出来ます。
農作物を栽培していると、シカやイノシシなどの動物に農地を荒らされることがあります。
ドローンを用いれば、夜間に赤外線カメラを使って農地を荒らしている動物の種類、大きさ、個体数などを調べることができます。
従来は、農地の周辺に柵を設置したり、罠を仕掛けたりしても農作物を荒らされて逃げられることが多くありました。
ドローンを使えば、夜間に自動運転で害獣について調べることが出来ます。
人が捜索困難な場所でも飛行することが可能です。
今後は、害獣が罠にかかるようドローンが誘導するために、ドローンによる餌の自動投下技術を確立させる研究が行われています。
まとめ
ドローンの農業分野におけるメリットは?実際の活用事例を紹介!というテーマで解説しました。
農業分野でドローンを使うことは、導入コストが安い、少人数で作業が出来る、農作物のデータを一元管理出来るなど多くのメリットがあります。
従来の農作業に比べて、格段に効率化することが出来ることが分かりました。
また、農薬散布や肥料散布、種まきなど多くの分野でドローンが活躍していることも分かりました。
今後は、農地の上でドローンを見かける機会が増えるでしょう。
また、ドローンの活用が農業に従事する人の増加に繋がるかもしれません。
農業とドローンの関係は今後も目が離せません。