年々、ドローンを農薬散布に導入する農家が増えています。しかし、導入する前は様々な悩みや疑問を抱えます。
- 免許・資格は必要?
- コストはどれくらいかかるの?
- どんなメリットがあるの?
ドローンの導入には多くの課題がありますが、作業効率の向上や労働負担の軽減など、農業には大きな生産能力の向上につながるでしょう。
農薬散布にドローンの使用を考えている方に向けて、今回の記事ではドローンの特徴や導入するメリット、運用する方法について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
ドローンの特徴は?
技術発展や機械化により、農業に営む人口が減少しています。農業の機械化が普及したことによって、多くの人手を必要としなくなったためです。
近年、農薬散布にはドローンが注目されており、ドローンを使用している方は少なくないでしょう。一体どのような特徴があるのでしょうか。
参考 https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0005/19.html
ドローンとは?
ドローンとは、無人航空機のことをいい、遠く離れた場所から操縦することが可能です。小型機の場合は、少人数での作業を可能にします。
また、カメラを搭載することによって、人が立ち入れない危険区域の観察ができたり、遠く離れた場所に物資を運んだりすることも可能です。
人ではどうすることもできない作業を行うことができるため、応用の幅が広い機械になります。様々な業種での活躍が期待されており、今後の発展に注目が集まっています。
農薬散布にも利用できる
ドローンは農業にも応用ができ、農薬の散布に大きな役割を果たします。位置情報が分かる測位システムを利用し、プログラミングしたコースに農薬を散布することが可能です。手動での操作ではないため、正確な散布ができます。ただし、農薬には使用基準があり、使えないものもあるため注意しましょう。
作業の効率化や労働負担の軽減に役立ちますが、詳しい内容は以下で解説します。
ドローン導入のメリット
ドローン導入は効率アップや肉体労働の減少につながります。機会化は人のミスを軽減することができ、尚且つ作業スピードも速いため人材不足を補うことが可能です。
ドローンには良い点が多々ありますが、メリットをすべて答えることができる人は少ないはずです。利用者が増加しているドローンですが、導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
コンパクトな大きさ
ドローンの強みは、大きさにあります。小型でコンパクトなため、少人数での操作が可能です。また、人が立ち入れない場所に難なく入ることができ、ヘリのようにプロペラの騒音も少ないです。
効率が上がる
ドローンを導入すると、作業の効率が上がります。移動性に優れており、どの方角にも方向転換が可能です。人が作業するよりも、ドローンを利用した方が時間短縮につながり、労働の負担を軽減できます。
防除効果がある
農家にとって、最大のメリットである防除効果があります。「防除の委託は時期が決まっているので、防除できない期間がある」「害虫を早く駆除したい」といった悩みを簡単に解決してくれます。
高齢化への対策
ドローンの操作は、高齢者にとって難しいと思うかもしれません。しかし、作業の負担や防除効果がつらい状況であると、作物の収穫は厳しいはずです。ドローン散布には委託という選択肢もありますので、視野に入れてみてはどうでしょうか。高齢者の方にとって、ドローン導入は大きなメリットになります。
農薬散布の品質
農業用ドローンは農薬を散布する性能が高く、均一な量の散布や希望する場所への散布が可能です。過剰に農薬をまいてしまったり、散布したい場所にまけなかったりするなど、人為的なミスを無くすことができます。
ドローン導入のデメリット
農業に役立つ機能が備わっており、多くのメリットを有する一方、ドローンにはデメリットもあります。一体どんな欠点があるのでしょうか。
作業時間に上限がある
バッテリーで動いているドローンは、可動できる時間が限られており、長時間の可動はできません。時にはバッテリーの交換が必要なため、手間も掛かります。短時間での作業が求められるドローンの可動上限は、多くの作業時間を必要とする農家にとって欠点となります。
手動での操作は難しい
農薬の散布量が偏らないようにドローンを動かす必要があるため、手動での操作はきわめて難しいかもしれません。個人差によりますが、機械の操作が苦手な方にとっては、大きなデメリットになるでしょう。より正確に農薬を散布するため、コースのプログラミングをおすすめします。
無人ヘリとの違い
ドローンが普及し始める前、農業散布には無人ヘリが活躍していました。
無人ヘリは大規模な農場向けです。小型のドローンとは異なり、機体が大きいので積める農薬の量が多く、広範囲に散布することができます。基本的に業者へ依頼するケースがほとんどで、農家の方が作業することは滅多に無いです。
委託にコストがかかることや、小規模の農場では作業が難しいというデメリットがあります。小さな農場ではドローンの方が役に立つでしょう。
ドローン導入・運用方法は?
農薬散布に効率と正確性を高めてくれるドローン。導入までには様々なステップがあるのですが、まだ導入のイメージが掴めていないかもしれません。一体どんな手順でドローンを取り入れるのでしょうか。ここでは散布に至るまでの手順を説明します。
ドローンを実用するまでの流れは、以下の通りです。
1.ドローンの講習を受ける
農薬散布ドローンの導入には資格が必要になります。スクールで講習を受け、科目の修了が必要です。講習だけでなく技能も行い、ドローンの操作方法を完璧に取得します。
2.ドローン技能認定証明書を受け取る
講習を終えたら証明書を受け取りましょう。有効期限があるため注意が必要ですが、証明書がないとドローンを導入できないので、取得は必須です。証明書を受け取る方法は下記で解説します。
3.機体を購入する
証明書を手に入れた後は、実際にドローンを購入しましょう。事前に性能をチェックし、自身の農家に適した機体の選択が必要になります。購入にはコストがかかるため、買った後に失敗したと気づくことは避けた方が良いです。
4.農薬散布の計画を立てる
農薬散布の計画は、あらかじめ立てておきましょう。どのようなルートで、いつの時間帯に農薬を散布するのか計画し、実践に備えます。散布時に問題が起きてもすぐ対処できるよう、リスクの考慮も必要です。
5.農薬を散布する
計画を立てたら最後のステップ、実際に農薬を散布しましょう。想定通りの動きができているか、不具合やミスがないか細かくチェックします。散布に何か問題がある場合は、改善や修正を繰り返し、作業をスムーズに進めます。
免許や資格の必要性・取得方法
ドローンは便利な機械ではありますが、危険性も兼ね備えています。機械を扱うわけですから、もちろん安全性への配慮も必要になります。機体を扱うためには知識が重要です。
それでは、ドローンの操作に免許や資格は必要なのでしょうか。ここでは免許取得の有無に関して知識を身に付けましょう。
農薬散布ドローンに免許や資格は必要?
農業用ドローンに免許は不要です。車を運転するためには免許を携帯しなければなりませんが、ドローンの導入には不要となります。
しかし、ドローンの購入には「農薬ドローン技能認定証明書」の所持が必要です。証明書は「JUIDA」が定める条件をクリアすると申請ができます。条件には、「JUIDAの個人会員であること」「JUIDAスクール修了者であること」などが挙げられます。
証明書には年会費がかかり、有効期限は2年です。
参考 https://uas-japan.org/business/about-qualification/
ドローンはどうやって選ぶの?
ドローンには様々な種類が存在します。「タンクの容量」「飛行できる時間」などといった点が異なり、優れた性能は機体によって変わってきます。
購入を考えている方は、ドローンの選び方について学びましょう。正しい知識を有すれば、持っている情報から比較ができ、適切なドローンの購入が可能です。
ドローン導入の目的を決める
導入の際は、どんな目的でドローンを利用するのか確認しましょう。農薬散布に使う場合と、鳥獣被害の対策に使用する場合では、ドローンの種類が異なります。利用目的に合わせてドローンを購入するべきです。
性能を確認
ドローンの性能を確認するべきです。機体によって、農薬タンクの容量や飛行できる時間、最大離陸重量が異なります。最大離陸重量とは、機体とタンクの積載物における総重量のことをいいます。性能が十分でないと作業に支障がでるため、細かい注意が必要です。
自動飛行機能の有無
自動飛行機能が備わっているか確認しましょう。自動飛行機能とは、プログラムした飛行ルートを自動で走行する機能をいいます。手動での操作を必要としないため、正確な散布が可能です。また、可動時間の設定もできるので、自由なタイミングに合わせて作業ができます。
技術マークの確認
技術マークがあるかの確認は必ずしましょう。電波法令によって定められているドローンであるかの証明になります。技術マークのないドローンを使用すると違反になるため、注意が必要です。
参考 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/
補助金や将来性について
農業にドローンを導入する際の補助金や農業にドローンを導入することの将来性について解説します。
補助金はあるの?
ドローンの導入には大きなコストがかかるため、購入は難しいという方がいると思います。また、利用するにしても、できる限り安く仕入れたい人は多いのではないでしょうか。
実は、ドローン導入に補助金が活用できます。多くの農家が、補助金によるドローン導入の検討をしています。なるべくコストをかけたくない場合は、補助金の利用がおすすめです。
適した農薬の選択
ドローンの機体を導入したとしても、農薬に効果がなければ散布する意味がありません。散布できる農薬にはどんなものがあるのでしょうか。
ドローンで散布できる農薬は限られており、全てが対応しているわけでは無いです。
農業散布ドローンに対応しているかどうかの確認は、農水省官民協議会ホームページでできます。自分が使用している農薬が、ドローン散布に適しているか随時確認しましょう。
副収入や将来性は?
ドローンを導入することで、自身の農家発展につながるだけではなく、副収入が期待できます。こういった意外な可能性を秘めたドローンは、今後農薬散布で普及される可能性が高いでしょう。しかし実際、将来性はあるのでしょうか。
ここでは、農薬散布にドローンを利用することによって、得ることができるものと将来性について解説します。
副収入
農業ドローンの導入には副収入が期待できます。
維持費にコストがかかるドローンを、採用できない農家もあるはずです。ドローンの導入が厳しい場合、考えられる策は「農業用ドローンを所持している方に、散布を依頼する」ということになります。
自身の農場以外の農薬散布を請け負うことで、副収入を受け取ることができます。しかし、場所や環境によって状況は異なりますので、他の人がドローンを必要しているかどうかは、事前確認が必要です。
将来性
農業の機械化によって、ますます作業の効率がアップするでしょう。
例えば、大規模な農場では敷地が広いため、移動に時間がかかります。人が物資を運ぶには多くの時間が必要です。しかし、ドローンを利用すれば時間短縮につながり、移動に使う労力も軽減することができます。
また、ドローンはデータの記録や分析が可能であるため、人が動くよりも圧倒的に細かく、効率よく作業をします。集めたデータをもとに改善を繰り返し、ドローンの力を最大限まで発揮しましょう。
数々のメリットがあるため、この先農業でのドローン導入は、必要不可欠になるかもしれません。
まとめ
今回の記事では、ドローンの特徴や導入するメリット、運用する方法について詳しく解説しました。ドローン導入のイメージができるようになったのではないでしょうか。また、補助金といったサポート面も充実しているため、導入に対する抵抗が少し和らいだはずです。
ドローン導入に関するポイントを以下にまとめました。
- 効率アップや労働負担の軽減につながる
- 免許は不要であるが、証明書が必要
- 自身の農家にあった適切なドローン・農薬を選択する
- 導入コストに補助金が期待できる
今後さらに農薬散布ドローンは発展していくと思います。ぜひ農家にドローンを導入してみてはいかがでしょうか。