一般的に広く普及しているドローンの多くは、Wi-Fi(2.4GHz帯)の電波を利用しています。
そのため一般のドローン利用者の方は、特別に無線の免許などを取得せずにドローンを飛行させることができます。
Wi-Fiで飛ばすということは、
「Wi-Fiを使っていると聞いたことがあるが、Wi-Fiの通信環境のこと?」
「屋外でドローンを飛ばすには、ポケットWi-Fiが必要なのかな?」
このような疑問点が出てきてもおかしくありません。
今回の記事では、ドローンとWi-Fiの関係性について、よく勘違いされていることにも触れてご紹介していきます。
記事をご覧いただければ、Wi-Fiについての疑問点が解消されるはずです。
誤解されがちなドローンとWi-Fiの関係性について
ドローン初心者の方からすると、よくわからない話の一つが電波のことです。
冒頭でもお話ししたように、一般的なドローンはWi-Fiと同じ2.4GHz帯の電波帯を使用しています。
ドローンを購入した方であっても、この辺りの仕組みの理解が少し難しいのが現状です。
順を追って、ドローンとWi-Fiの関係を見ていきましょう。
ドローンはどのように飛んでいるのか
まず、ドローンが電波で飛ぶ仕組みを簡単にお伝えしていきます。
スマホの電波は使っていない
多くの方が誤解しているのですが、スマホが発する電波を利用してドローンを飛ばしたり、指示を出したりしている訳ではありません。
コントローラーが発する電波を利用
コントローラーから発せられるWi-Fiを利用して、ドローンを飛行させます。
※一般的にドローンのコントローラーは「プロポ」と呼ばれています。
スマホの役割は?
スマホにダウンロードしたアプリでドローンを飛行させます。
またスマホは、ドローンの飛行情報などを表示するモニターの役割も果たします。
スマホはドローンの飛行のための、補助的な役割を担っているということです。
スマホとコントローラーを、ケーブルやWi-Fiで繋げることにより、スマホの画面上の操作から、ドローンに撮影の指示を出したり、飛行の指示が出せたりするのです。
Bluetoothで機器を接続するようなイメージで間違いありませんね。
ドローンを飛ばすためにWi-Fiの通信環境は必要?
さて、Wi-Fiの通信環境がドローンを飛ばすために必要かと問われれば、「必要ありません」というのが答えになります。詳しく解説していきます。
Wi-Fiの通信環境は必要なし
すでにお伝えしたように、ドローンの飛行自体に必要なのは「コントローラー」から発せられる電波です。
スマホの通信状況や、Wi-Fiの通信環境は必要ありません。
逆にスマホの通信環境が、ドローンの飛行にとって邪魔になる?
ドローンの飛行中、突然の電話などによる画面の変化があると、ドローンのカメラの映像が見えなくなりとても慌てます。
ドローンを飛ばしているときは、機内モードに設定し、着信などを受け付けない状態にして飛行させることをおすすめします。
ドローンの機体やコントローラーのアップデートにはWi-Fi環境が必要
ここまでお伝えしたように、ドローンの飛行には、スマホの通信環境やWi-Fiの通信環境は必要ないことがわかりました。
しかし、Wi-Fiなどの通信環境は全く不要なのでしょうか?少し深掘りしてお伝えしていきます。
ドローンの機体やコントローラーのアップデート
ドローンの機体やカメラなどの電子機器を制御するために組み込まれているソフトウェアのことを「ファーウェア」といいます。人間でいうところの、脳みそのようなもの。
ドローンの製品は、ファームウェアを定期的にアップデートすることにより、機体が安定した動作できるようにしたり、不具合の修正をしたり、新しい機能を追加したりします。
ファームウェアのアップデートは結構頻繁に行われます。
屋外で飛行させるためにはWi-Fi環境は必要ないが・・・
何度もお伝えしているとおり、ドローンの飛行自体にはWi-Fiの通信環境は必要ありません。
しかし、アップデートしないと飛行に悪い影響が出る場合があります。
状況によっては、プロペラが回転しなかったり、ドローンが飛行しなかったりするパターンも。
プライベートでドローンを飛行させる場合は笑い話で済むかもしれません。
しかしビジネスでドローンを活用している場合だと、大変なことになります。
ドローンは基本的には屋外で飛行させるものです。
突然のアップデートにより飛行できなくなる可能性もあるので、ポケットWi-Fiやテザリング機能のついたタブレットやスマホを用意しておくことが大切です。
墜落注意!2.4GHz帯は「電波のゴミ箱」
ここまでは、ドローンとWi-Fiの関係性、Wi-Fiの通信環境が必要な場合をお伝えしてきました。
最後にもう一つ、注意していただきたいことをご紹介します。
ドローンで使用する電波帯は2.4GHz帯
市場に出回っている一般的なドローンの多くは、2.4GHz帯という電波帯を利用しています。
この電波帯はWi-Fiの電波と同じです。
ここで一つの疑問があります。
2.4GHz帯の電波を使っている、他の製品はあるのだろうか?ということです。
Wi-Fiと同じ2.4GHz帯の電波が使われている家電製品は、
- テレビ
- 電子レンジ
- Bluetooth機器
- コードレス固定電話
- IHクッキングヒーター
などです。
日常で使われている多くの家電が2.4GHz帯の電波を使用しており、常に混雑状態がゆえに「電波のゴミ箱」と呼ばれているのです。
電波干渉について
これらの機器から発せられる影響を受け、ドローンの飛行に悪い影響が及ぶ可能性があります。
住宅地でドローンを飛行させる場合、当然のようにWi-Fiの通信環境が張り巡らされ、家電もいたるところで使用されていますよね。
住宅のそばを飛行させていると、突然コントロールを失う可能性があるということです。
家電だけに注意すればよいのか?
実は森の中や林の中でも、電波を扱う鉄塔が存在します。
正直、素人の方が鉄塔を見ただけで、何に使われている鉄塔かはわかりません。
しかし、鉄塔は電波が関わりますので、ドローンを飛行させる際には、鉄塔の有無も確認してみてください。
最悪、緊急時は墜落させる訓練を
電波干渉についてお伝えしてきましたが、もう一つ補足をさせてください。
電波干渉が起きると、
- ドローンに対する指令ができない
- ドローンからの映像情報などが遅延する
- ドローンのカメラの映像が消える
- コントロール不能となり、どこかに飛んでいく
などの不具合が発生します。
電波障害など緊急時の場合、ドローンによっては、RTH(リターントゥホーム)という機能が働くことがあります。
RTHはドローンを離陸させた場所まで、指定した方法・高さでドローンが自分で帰ってくる仕組みです。
この仕組みが働けば良いのですが、電波障害だと難しい状況が多いです。
もし人や物に接触させる可能性があるのであれば、緊急的にプロペラの回転を止め、墜落させる方法がありますので、訓練の際に練習しておく必要があります。
まとめ
今回は、ドローンとWi-Fiの関係性についてお伝えいたしました。
ドローンはWi-Fiを使って飛ばすんだ!と聞くと、多くの方はWi-Fiの通信環境が必要と誤解してしまいます。
ドローンは高性能ですし、誰でも簡単に飛ばせるので、電波などについての細かい情報を学ぶ機会が少ないのが現状です。
もう一度結論になりますが、ドローンを飛行させるのにWi-Fiの通信環境は必要ありません。
しかし記事内でもお伝えしたように、重要なアップデートが発生する場合がありますので、Wi-Fi環境が全く不必要とも言い切れません。
ビジネスで飛ばすのか、プライベートで飛ばすのか、状況にもよりますが、屋外での通信環境についても考えてみてはいかがでしょうか?
また、ドローンは電波を使って飛行させるので、周囲の電波状況には常にアンテナを張り、常に電波障害と隣り合わせであるということを念頭において、ドローンを飛行させていきましょう。