インプレス総合研究所が2021年に発表したレポート「ドローンビジネス調査報告書2021」によると、2025年度、日本国内のドローンビジネスの市場規模は、6468億円(2020年度の3.5倍)になると見込まれています。
さまざまなモデルが発売されるにつれドローンを操縦したい、購入したいという人が増えています。
本記事では、初心者におすすめのドローンの紹介とドローンを購入する以外にもドローンに必要な保険レンタルサービスなどをご紹介します。
ドローンの種類にはどんなものがあるの?
ドローンの種類にはどんなものがあるのでしょうか。ドローンは、趣味用のトイドローン、一般用ドローン、産業用ドローンの3つに分類されます。
トイドローン
トイドローンは、100g未満の小型ドローンのことをいいます。「おもちゃ」に分類されるため、2022年12月現在、飛行許可が必要ありません。
機能が限定されているのが特徴で、本格的にドローンを購入する前の初心者に人気があります。
値段も、数千円から1万円程度で購入できるため、子供のクリスマスプレゼントとしても人気があります。
一般用ドローン
トイドローンより大型で、高機能のものをいいます。重量が200g以上になるので、飛行場所や飛行ルールなど、航空法を遵守する必要があります。
2022年12月現在、ドローンを飛行させるのには国土交通省への飛行申請が必要になります。
一般用ドローンは、5万円から20万円程度で購入できますが、カメラの性能、連続飛行時間、速度などによって、価格が異なります。
一般用ドローンは、趣味用としても、仕事用としても使うこともできます。
産業用ドローン
産業用ドローンは、人手不足や高齢化など、産業の構造的な問題を解決するツールとして注目されています。
中でも農薬散布ドローンの需要は高く、時速15kmで幅4mを散布するので、人が散布するのに比べ、作業時間を1/5に短縮できます。
このほかにも、インフラ・設備点検、空撮、測量、搬送物流、防犯監視・警備業務、災害救助、水質検査などの分野で活用されています。
産業用ドローンは、人が作業するより、時間も工数も削減でき、正確な結果を得られるのが特徴です。価格は高く、数百万円するものもあります。
このクラスになると、墜落による損害も大きくなるため、保険の加入は必須になります。
ドローンの保険加入は必須?
結論からいえば、ドローンを操縦するのに、保険の加入は必須ではありません。
しかし、機体が墜落すると、全損になる可能性が高く、また、第三者にけがを負わせてしまった場合には、莫大な損害賠償を請求されることもあります。
趣味でドローンを操作する人も、仕事でドローンを操作する人も、万が一のために、保険に加入しておくことをおすすめします。
ドローンの保険にはどんな種類があるの?
ドローンの保険には、「賠償責任保険」と「機体保険」の2種類があります。
賠償責任保険
ドローンの操作を誤り、人や車、公共のものを破損させた場合に補償する保険です。プライバシーの侵害で訴えられた場合も補償します。
種類 | 内容 |
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対人賠償 | 機体が通行人などに接触して、けがを負わせてしまったり、死亡事故が起こってしまった場合に補償します。 |
対物賠償 | 機体が他人の家などに衝突して墜落した場合、損傷した車の修理費を補償します。 |
人格権侵害 | 空撮した映像を、Webサイトに投稿したところ、付近の家からプライバシー侵害などで訴えられた場合に補償します。 |
機体保険
ドローンの機体が破損した場合の修理費用を補償します。
機体が行方不明になったときの捜索費用、回収費用、それにかかる宿泊費や交通費なども補償します。
ドローン保管時の火災、落雷、水濡れ、盗難による被害も補償します。
個人向けと法人・事業主向けがある
賠償責任保険と機体保険には、「個人向け」と「法人・事業主向け」があります。ただし、趣味でSNSやWebにアップする場合は、業務目的とみなされ、法人・事業主向け保険に加入する必要があります。
種類 | 内容 |
---|---|
個人向け保険 | 個人でドローンを飛行させる場合に加入します。 |
法人・事業主向け保険 | 法人や個人事業主がドローンを飛行させるときに加入する保険です。 |
DJI製ドローンの保険制度
DJI製のドローンを購入すると、1年間無料で加入できる「DJI無償付帯賠償責任保険」があります。この保険は、第三者への対人、対物の事故を補償します。機体購入後、Webサイトで機体のシリアル番号を登録することで加入できます。
事故が発生した場合、機体を丸ごと交換してくれる「DJI CARE Reflesh」のサービスもあります。DJI CARE Refleshは、DJIのオンラインストアで購入できますが、機体によって料金が異なります。
DJI CARE Refleshの1年版では、最大2回まで、2年版では、最大3回まで、新しい機体と交換できます。機体交換時には、DJI CARE Refleshのほかに、追加料金が必要です。
ドローンの操縦スキルに自信がない場合は、DJI CARE Refleshに加入することをおすすめします。
ドローンを飛行させるときに守るべき法規制は?
2022年12月現在、トイドローンは航空法の対象外です。
しかし100g未満のトイドローンであっても、「小型無人機等飛行禁止法」を遵守しなければなりません。この法律は、国が定めている重要施設の付近では、ドローンの飛行を禁止するものです。
次のような施設と周囲のおよそ300mの上空におけるドローンの飛行は、原則禁止されています。
- 国会議事堂等
- 内閣総理大臣官邸等
- 危機管理行政機関
- 最高裁判所庁舎
- 皇居・御所
- 政党事務所
- 外国公館
- 自衛隊施設
- 在日米軍施設
- 原子力事業所
- 空港
対象の地域でドローンを飛行させた場合、1年以下の懲役または、50万円以下の罰金に処せられることもあります。
2022年6月に航空法が改正され、ドローンの定義が「200g以上の機体」から「100g以上の機体」に変更されたので、100g以上のトイドローンは航空法の対象です。
ドローンのおすすめ3商品を紹介
飛行、撮影ができる、初心者におすすめのドローンを3つ紹介します。
Tello
Telloは、初心者に人気のあるトイドローンです。Shenzhen Ryze Technology社が開発し、ドローンの世界シェア75%のDJI社が技術供与しています。
手のひらサイズで80gの軽量のため、室内でも屋外でも飛行を楽しむことができます。ドローンをちょっと飛ばしてみたい、空撮を体験したいという人に最適です。
Intelの高品質プロセッサーを搭載しており、鮮明な写真と動画が撮影できます。「EZショット」モードを使えば、プロのような動画が撮影できます。機体とスマートフォンを接続して操作します。
1回タップするだけで、自動で離着陸ができます。スクラッチのプログラミング開発もできます。
飛行時間は13分で、価格はおよそ1万3,000円です。
重量 | 80g(プロペラとバッテリー含む ) |
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サイズ | 98mm x 92.5mm x 41mm |
内蔵機能 | ・レンジ・ファインダー ・気圧高度計 ・LEDインジケーター ・ビジョンシステム(下方) ・WiFi / 802.11n / 2.4G ・720p ライブビュー |
ポート | Micro USB充電ポート |
最大伝送距離 | 100m |
最大速度 | 8m/s |
最大飛行時間 | 13分 |
脱着式バッテリー | 1.1AH/3.8V |
写真 | 5MP(2592 x 1936) |
視野角(FOV ) | 82.6° |
動画 | HD720p30 |
フォーマット | JPG(写真)MP4(動画) |
EIS(電子式映像ブレ補正 | 対応 |
価格 | 1万2,980円 |
DJI Mini 2
DJI Mini 2は、本格的な空撮が楽しみたいという人向けのDJI製ドローンです。199gの軽量にもかかわらず、風圧抵抗 レベル5、飛行時間18分、伝送距離6km、4K動画に対応しています。
自動離陸、スマートRTH(自動帰還)、正確なホバリングができます。
撮影後の映像処理、SNSアップが簡単にできるのも特徴です。
機体がスマートフォンに近づくと、DJI Flyアプリがスマートフォンと機体を自動的に接続し、20MB / sで選択した写真とビデオを同期します。
DJI Flyアプリには、さまざまなクリエイティブ テンプレートが用意されているため、飛行、撮影、編集、SNSシェアを、外出先で行うことができます。
機体、予備プロペラ、予備インテリジェントフライトバッテリー、プロペラホルダー、2WAY充電ハブ、DJI18WUSB充電器などがセットになった「DJI Mini 2 Fly More コンボ」は79,200円で、別々に購入するよりも割安に購入できます。
重量 | 199g |
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サイズ | 折りたたんだ状態 138mm × 81mm × 58mm 展開時 159mm × 203mm × 56mm 展開時(プロペラあり)245mm × 289mm × 56mm |
最大上昇速度 | 5m/s(Sモード) |
最大下降速度 | 3.5m/s(Sモード) |
運用限界高度(海抜) | 3,000m |
最大飛行時間 | 18分(無風) |
動作周波数 | 2.400~2.4835GHz |
センサー | 1.2 / 3インチCMOS 有効画素数 12MP |
レンズ | FOV 83° |
最大静止画サイズ | 4:3 4000 × 3000 16:9 4000 × 2250 |
動画解像度 | 4K 3840 × 2160 @ 24 / 25 / 30fps 2.7K 2720 × 1530 @ 24 / 25 / 30fps FHD 1920 × 1080 @ 24 / 25 / 30 / 48 / 50 / 60fps |
最大動画ビットレート | 100 Mbps |
ズーム範囲 | 4K 2倍 2.7K 3倍 FHD 4倍 |
写真フォーマット | JPEG / DNG(RAW) |
動画フォーマット | MP4(H.264 / MPEG-4 AVC) |
バッテリー容量 | 5,200mAh |
USBポート | Lightning Micro USB(Type-B) USB-C |
映像伝送 | OcuSync 2.0 |
ライブビュー品質 | 送信機 720p / 30fps |
最大ビットレート | 8Mbps |
価格 | 5万9,400円 |
DJI Air 2S
本格的な空撮を楽しみたい人には、DJI AIR 2Sがおすすめです。600g以下のコンパクトサイズながら、飛行時間31分、1インチCMOSセンサーを搭載し、5.4K動画を撮影できます。
高解像度、HDR(ハイダイナミックレンジ)により、薄暗い環境でも、シャープで鮮やかな映像が撮影できます。
マスターショット機能を使えば、1回タップするだけで、映画のような短編の動画が撮影できます。被写体をフレームの中心に配置して、ドローンが10種類の異なる飛行をしながら動画を撮影します。
センサーが、上下前後に装備されているので、障害物が多い環境でも、自動的に回避します。
機体、予備プロペラ、予備インテリジェントフライトバッテリー、NDフィルターセット、ショルダーバッグ、DJI Care Refresh(1年)などがセットになった「DJI Air 2S Worry-Free Fly More コンボ」は16万5,000円で、別々に購入するよりも割安に購入できます。
重量 | 595g |
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サイズ | 折りたたんだ状態 180mm × 97mm × 77mm 展開時 183mm × 253mm × 77mm |
最大上昇速度 | 6m/s(Sモード) |
最大下降速度 | 6m/s(Sモード) |
運用限界高度(海抜) | 3,000m |
最大飛行時間 | 31分(無風) |
動作周波数 | 2.4GHz |
センサー | 1インチCMOS 有効画素数:20MP、2.4μm ピクセルサイズ |
レンズ | FOV 88° |
最大静止画サイズ | 20 MP 5472 × 3648 (3:2) 5472 × 3078 (16:9) |
動画解像度 | 5.4K:5472 × 3078 @ 24/25/30 fps 4K Ultra HD:3840×2160 @ 24 / 25 / 30 / 48 / 50 / 60 fps 2.7K:2688×1512 @ 24 / 25 / 30 / 48 / 50 / 60 fps FHD:1920×1080 @ 24 / 25 / 30 / 48 / 50 / 60 / 120 fps MP4 / MOV(H.264/MPEG-4 AVC、H.265/HEVC) |
最大動画ビットレート | 150 Mbps |
ズーム範囲 | 4K / 30fps:4倍 2.7K / 60fps:4倍 2.7K / 30fps:6倍 1080p / 60fps:6倍 1080p / 30fps:8倍 |
写真フォーマット | JPEG / DNG(RAW) |
動画フォーマット | MP4/MOV(H.264 / MPEG-4 AVC、H.265 / HEVC) |
バッテリー容量 | 3750 mAh / 3500 mAh |
USBポート | Lightning Micro USB(Type-B) USB-C |
映像伝送 | OcuSync 3.0 |
ライブビュー品質 | ドローン + 送信機:1080p / 30fps 12 Mbps 120 ms ドローン + DJI スマート送信機:1080p / 30fps 12Mbps 130 ms |
最大ビットレート | 44 Mbps(ダウンロード ビットレート) 16 Mbps(ライブ動画 ビットレート) |
価格 | 11万9,900円 |
中古のドローンは本当にお得なの?
価格が安いので、中古のドローンを購入しようという人もいます。中古のドローンを購入するときに、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
中古のドローンを購入するメリットは、新品より安く手に入るという点です。
一方、中古のドローンを購入するデメリットは、次のような点が考えられます。
- メーカーの保証期間が切れている
- 故障したときの修理代が割高になる
- 機体の状態が悪い
- バッテリーが消耗している
- オプション品が欠けている
中古のドローンが故障したときの修理代は、新品よりも高くつく可能性があります。新品には1年間の保証が無償でついている場合が多いので、操縦スキルに自信のない人は、新品を購入したほうがよいでしょう。
ドローンにはレンタルサービスもある
一般用ドローンや産業用ドローンを購入したいけど、どのドローンが最適なのかわからない。そんな人には、ドローンのレンタルサービスがおすすめです。
レンタルサービスでは、トイドローンから産業用ドローンまで、さまざまなドローンを取り扱っています。アクセサリーもレンタルできます。
また、専門スタッフによるドローンの操縦代行や、空撮請負、調査請負を提供しているサービスもあります。
レンタルサービスの多くが、損害賠償保険や機体保険に加入しているため、万が一の事故や機体が破損しても、安心して対応することができます。
Webで申し込み、郵送で受け取り・返却ができるので、全国どこからでも利用できます。
ドローンをレンタルするメリット
価格が安い
高性能なドローンが安価にレンタルできます。1泊2日で1万円以下の場合もあります。月額プランの場合、通常よりも割安に設定されているものもあります。
いろいろなモデルを試せる
さまざまなドローンがレンタルできるので、用途にぴったりの機体を探すことができます。
専門スタッフのサポートが受けられる
たとえば、産業用ドローンを1日だけレンタルしたいときに、専門スタッフにドローンの操縦を依頼できます。農薬散布や設備点検など、高機能のドローンの操縦には、専門的な知識が必要です。専門スタッフに操縦してもらえば、産業用ドローンの性能を充分に確認することができます。
ドローンをレンタルするデメリット
デメリットは、レンタル期間が限られているという点です。
初心者の場合、セットアップに時間がかかってしまい練習する時間がないまま返却するということになりかねません。
ドローンのレンタルサービス3選
レンタルサービスの代表的なものを3つ紹介します。いずれも、賠償責任保険と機体保険に対応しています。
ドローンレンタルセンター
ドローンレンタルセンターでは、トイドローン、一般用ドローン、産業用ドローンを取り扱っています。店舗と郵送の両方で、受け取り・返却ができます。
ドローン初心者のために、専門スタッフによる操縦代行、空中撮影請負、水中撮影請負、電波測定、散布請負、調査サービスも行っています。
一部の地域を除き、海外でもドローンが使用できます。レンタル料金は、Tello (バッテリー3本付き)で、1泊2日1,430円(税抜)です。
ドロサツ
ドロサツは、トイドローンから産業用ドローンまで幅広くレンタルできるのはもちろん、保証制度が充実、レンタル中に飛行に必要な情報が無償で利用できるなどの特典があります。
すべての機体に、無償の国内損害賠償保険(対人と対物で1億円)が自動付帯しているほか、ドローンの飛行申請代行サービスも行っており、飛行禁止区域、天気、3D地図などの情報をレンタルした人全員が利用できます。
万が一機体を破損させてしまった場合、免責金額(支払い上限額3万円)になる破損時清算金額上限特約サービス「ドロサツ!!Care」が1,980円(税込)で加入できます。
Telloの基本セットは、予備バッテリー2本付きで1泊2日1,980円(税込)です。DJI Air 2sの基本セットは、バッテリー計3本で、1泊2日6,980円(税込)です。
割安な月額プランもあります。Mavic Air(基本セット)バッテリー計3本つきの月額プランは1万4,800円(税込)です。ただし、最低利用期間は2カ月となります。
ドローンレンタルネット
ドローンレンタルネットは、申込日の15:00までに支払いが完了すれば、必要な機材を即日配送してくれます。
DJIの正規販売店のため、高額なプロ用の最新機種を多く取り扱っています。最新のドローンを、いち早く試したいという方におすすめのサービスです。
プロ用ドローンの購入前のお試しや、メイン機にトラブルが起こったときのサブ機としても利用できます。
2022年12月現在、往復送料無料キャンペーンを行っています。
※一部遠方地域、オプションのみのご利用は対象外。
徹底した衛生管理を行っており、新型コロナウィルス以前から、返却後の機材には、アルコール系消毒剤の噴霧、清拭をしています。
機材一式セットはもちろん。オプションのみの配送にも対応しています。まとめて複数レンタル、バッテリー単体のみのレンタルもできます。
まとめ
本記事では、ドローンの種類と、初心者におすすめの機体について解説しました。
ドローンの用途が、個人的な趣味の場合は、トイドローンから始めるのがよいかもしれません。
一方、仕事としての空撮、点検、調査、農薬散布などを行う場合は、まずいろいろな機体をレンタルし、用途にぴったりのモデルを購入するのがよさそうです。
レンタルサービスの中には、法人プランを用意しているところもありますので、いろいろな機体を試してから、最適な機体を購入するのがよいでしょう。