最近はドローンによって撮影された映像を見る機会が増えてきました。
テレビやYouTubeなどでも、頻繁に空からの美しい映像が流れます。
ドローンをプライベートで飛ばしてみたいという方や、ドローンを仕事で活用してみたいという方もいると思います。
そこで多くの方が悩む問題が出てきます。
「ドローンを飛ばすのには資格がいるのかな?」「ドローンで撮影するための手続きはあるのかな?」
ドローンについて未経験の方にとっては、ドローンは未知の世界です。
この記事では、ドローンを飛行させるために資格は必要なのか?ドローンで撮影するには、どのような手続きが必要なのか、について詳しく解説していきます。
2022年には、ドローン業界で新しい動きも出てくることから、最新の情報をチェックしていただければと思います。
ドローンの飛行やドローン撮影に資格は必要?
ドローンについての資格について説明していく前に、ドローンの免許のお話をします。
免許と資格という言葉が似ていますので、どうしても混同してしまう方が多くいらっしゃいます。
ドローン飛行の免許について
結論から言うと、2022年11月現在ドローンを飛行させるために、国から発行されている免許というものはありません。
ですから、基本的にドローンについては誰でも飛行させることができます。
※ドローンを販売しているメーカーによっては、飛行可能な年齢を指定している場合があります。
しかし、全く免許が必要ないわけではありません。
このあたりも、ドローンの飛行に免許が必要かどうか迷わせてしまう部分ですね。
ドローンは機体によって使用する電波が異なります。
使用する電波によっては、電波法に基づいた免許取得が求められます。
今現在、巷で使われているドローンの多くは、2.4GHz帯という電波帯を使っています。
2.4GHz帯の電波をわかりやすく説明すると、「Wi-Fi」の電波帯ということです。
Wi-Fiは私たちにとって馴染み深い物です。
2.4GHz帯であれば、電波法における免許取得の必要は全くありません。
免許が必要なドローンは、ドローンレース用のドローン、産業用のドローンなどです。
これらのドローンは、5.7〜5.8GHz帯という電波帯を使用しますので、無線に関する免許を取得し、無線局の開設が必要となってきます。
ドローン撮影の免許について
ドローンの撮影についても、特別な免許というものは存在しません。
しかし、免許は必要ないといっても守るべきルールはたくさんあります。
そもそも飛行可能な場所であるかどうかの判断や、撮影においては撮影対象の許可が必要な場合もあります。
また、ドローンは空飛ぶカメラですので、個人情報保護の面を意識しなければなりません。
免許はないが「資格」は存在する
先述したように、2022年11月現在はドローンを飛行させたり、ドローンで撮影したりすることに国の指定する免許はありません。
しかし、「国が認める民間資格」は存在しています。
国が認める民間資格とはどのようなものでしょうか?
国の中でもドローンなど航空機業界を束ねているのは国土交通省です。
国が認める民間資格を発行している団体は、大きく分けて「管理団体」と「講習団体」があります。
管理団体は講習団体を束ねている母体です。
講習団体はそれぞれで運営しているドローンスクールとなります。
これらの国が認める講習団体が発行する民間資格が、免許に代わる資格ということとなります。
民間資格を保有するメリットは?
2022年11月までは免許を取得しなくてもドローンを飛行させることは可能です。
では、民間資格を保有するメリットはどこにあるのでしょうか?
飛行申請時の技能証明
ドローンには飛行禁止場所と禁止されている飛行方法があります。
例えば、人口密集地域を飛行させたり、夜間に飛行させたりするような場合です。
その禁止場所や禁止されている飛行方法によらない飛行をするためには、事前に国土交通省への飛行申請が必要となってきます。
飛行させるパイロットの情報や、飛行の目的、飛行させる機体など、さまざまな情報をもとに申請します。
そこで問題となるのが、「パイロットの技能証明」です。
申請時に求められる技能としては「10時間以上の飛行」が最低限必要となります。
本来であれば禁止されているような飛行をする訳ですから、最低限の訓練量を求められて当然ですよね。
ここで注意が必要なことが二つあります。
- 飛行申請は自己申告制であること
- ドローンがGPSを捕捉しない状態の練習が必要であること
自己申告なので、実際に練習したかどうかはかなりグレーな判断となります。
また、GPSを捕捉しない状態での訓練(完全手動での操作)が必要なのですが、GPSを捕捉しない状態に切り替えることができる機能を持つドローンは、かなり限定されています。
国が認定しているドローンスクールの民間資格を取得していれば、この10時間以上の飛行の技能証明が不要となり、ドローンを飛行させるための技術を習得しているという証明になるわけです。
知識量の増加
先に述べたような技能証明も当然必要ですが、ドローンは多くの知識を必要とします。
ドローンは、機体そのものの知識は当然として、法律や気象などさまざまな知識を組み合わせて安全に飛行させることができます。
クライアントの安心感
仕事でドローンを飛行させる場合、免許がないので民間資格があると非常に役立ちます。
全くの無資格者よりも、国が認めた民間資格を有しているパイロットの方が、当然クライアントは安心して仕事を依頼できます。
依頼を断る説得力
ドローンは環境に影響されやすい機体です。
風の影響や少しの雨が降っただけでも、機体によっては飛行を中止せざるをえません。
仕事でドローンを飛行させる場合、クライアントからすれば「何とか飛ばしてほしい」のが本音です。
しかし、無理をして飛行させれば、ドローンが墜落してしまうかもしれませんし、最悪の場合は人と接触したり、物を壊してしまうかもしれません。
依頼を何とか達成したいところではありますが、クライアントに「NO」を言うためには、それなりの知識量と説得力が必要となってきます。
主な民間資格を5種類ご紹介
ではここから、国から認められている主要団体と取得できる資格を簡単にご紹介していきます。
UAS LEVEL2
株式会社ドローンネットが運営のスカイファイトが発行している『UAS LEVEL2』は、国土交通省・管理団体認定の技能認定資格です。
スカイファイトでは、コース中に使用するドローンを全て無料レンタルできるので、ドローン購入費用がかからない点がメリットと言えます。
また、スクールのスケジュールは自由に組めるので、営業時間の11時~21時の間、好きな時間帯で講習可能です。
スカイファイトで取得できる資格や証明書は、全部で3種類あります。
- UAS Level.2 技能認証カード
- UAS LEVEL2 技能認証(航空局飛行申請用)
- 10時間飛行証明書
資格や証明書を持っていると航空局への飛行許可申請が一部簡略化され、スムーズにドローンを飛ばすことができます。
JUIDA
JUIDA(正式名称:一般社団法人日本UAS産業振興協議会)が主催する操縦者向けの民間資格です。
取得できる資格は次の二つです。
- 無人航空機操縦技能証明証
- 安全運行管理者
各スクールによって、受講日程や費用に違いがあります。
安全運行管理者の資格は、ドローンの安全運行に関する総合的な知識を有しているという証になります。
このような運行管理の資格は、他のスクールにはないJUIDA唯一の資格です。
DJI CAMP
DIJ CAMPは、DJIの日本法人であるDJI JAPAN 株式会社が主催する操縦者向けの民間資格です。
取得できる資格は次の三つです。
- DJIスペシャリスト
- DJIインストラクター
- DJIマスター
スペシャリストの資格を得てから、段階的にステップアップしていく資格システムです。
知識量も当然のこと、相当な飛行経験をしていなければ、インストラクター、マスターへのチャレンジすらできません。
DPA
DPA(正式名称:一般社団法人ドローン操縦士協会)が主催する操縦者向けの民間資格です。
取得できる資格は次の二つです。
- ドローン操縦士回転翼3級
- ドローン操縦士回転翼3級 インストラクター
DPAの資格もDJIキャンプ同様、今後ステップアップが可能となっていくようです。
ドローン検定
ドローン検定協会株式会社が主催する、ドローンの知識を有すること証明するための民間資格です。
取得できる資格はドローン検定の4級から1級です。
こちらの検定は、操縦技能の資格ではなく、ドローンに関する知識専門です。
技能の証明をしたい場合は、他の民間資格を取得する必要があります。
それぞれご紹介してきましたが、各団体で特徴や料金が違ってきます。
民間資格を取得するためには、時間と費用がかかるので慎重に選びたいですよね。
団体によっては、説明会などを開催しているところもありますので、気軽に問い合わせなどして検討してみてはいかがでしょうか?
2022年12月からの免許制度について
2022年からは、ドローンの制度が大きく変わってきます。
先ほど述べたように、ドローンには飛行禁止場所や禁止されている飛行方法があります。
今までは、国土交通省へ飛行申請をしていれば飛行させることが可能でした。
しかし、2022年12月5日に航空法が改定され、国が発行するライセンス制度が導入されると、国の発行するライセンスを持っていなければ飛行禁止場所での飛行や、禁止されている飛行方法によらない方法で飛行させることはできなくなります。
資格を持っていると就職に有利になる!?
今までドローンに関する資格は民間資格のみでした。
国の発行するライセンスを取得していると、ドローンの導入を検討している企業からは引っ張りだこ間違いありません。
さまざまな課題を解決する可能性があるドローンですので、ライセンスの需要は高まるばかりです。
すでに民間資格を取得している方はどうなる?
国が認める民間資格を取得している方は、国が発行するライセンスの取得の際、知識や技能の面で一部免除などを検討しているようです。
ドローンのルールに関しては、国と国が認めるドローン団体と共に作っていますので、今までの資格を全く無意味にするということは考えられません。
まとめ
今回は、ドローンの飛行や撮影に免許が必要かどうかについてご紹介しました。
ドローンについては今後ますます発展してくる分野であることは間違いありません。
今すでにある民間資格や、2022年12月から始まる国のライセンス制度など、新しい情報をどんどん取得しなくてはなりません。
ドローンの利活用分野が広がれば、ドローンの有資格者が必要となってきますので、早い段階から、ドローンに関する知識や技能を習得しておくことをおすすめいたします。