ドローンを飛ばしてみたいという人は年々増えてきました。
趣味で飛ばしたり、空撮のお仕事だったり、さまざまな用途でドローンを飛ばす機会が増えています。
ドローンを飛ばす機会が増えると心配なのは、ドローンによる事故です。
特に住宅地で飛行させた場合、墜落などすると、人と接触する危険性が出てきます。
「ドローンを住宅地で飛ばす場合、どのようなルールがあるのかな?」
「そもそもドローンは住宅地で飛ばせるの?」
こんな悩みを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。
この記事では、ドローンを住宅地で飛行させるために必要な法律の知識をお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。
ドローンは住宅地で飛ばせるの?
結論からお伝えすると、人が住んでいる住宅地では、簡単にドローンを飛ばすことはできません。
「えー!!」という声が聞こえてきそうですが、本当です。
もちろん、段階を追ってルールを確認していき、手続きをしっかり行えばドローンを飛ばすことは可能です。
あくまで「簡単にドローンを飛ばすことはできない」と認識していただければ幸いです。
順番にルールを確認していき、飛ばせない理由を消去法的につぶしていきましょう。
そうすれば、ドローンを住宅地で飛ばすことができるようになります。
最も基本となる法律「航空法」
ドローンを飛行させる上で、最も基本となる法律は航空法です。
住宅地だけでなく、ドローンを飛ばすためにはこの法律の理解は避けて通れません。
飛行禁止エリアについて
まずはじめに、飛行禁止エリアについて確認してみます。
- 空港周辺
- 緊急用務空域
- 150m以上の上空
- DID(人口集中地区)
- ⑤~⑧重要施設の周辺
住宅地を飛行させる上で最も関係しそうなものは、④DID(人口集中地区)です。
このDID(人口集中地区)については、後に詳細をお伝えします。
さらに、状況によって関わってくるルールもありそうです。
①空港周辺については、それぞれの空港で飛行禁止のエリアが決められています。
ドローンを飛ばしたい住宅地の近くに空港がある場合は注意が必要です。
③150m以上の上空は、住宅地でも飛行が可能なので注意が必要です。
⑤〜⑧の重要施設の周辺も、住宅地の中に存在していることがありますよね。
特に重要施設の場合は、航空法ではなく「小型無人機等飛行禁止法」という別の法律で規制されているエリアになります。
この法律についても航空法と同じく重要なので、後ほど触れます。
まず大前提として、国土交通省のHPで紹介されている飛行禁止エリアを必ず確認してください。
住宅地がこれらのエリアに該当していれば、基本的にドローンを飛ばしてはいけないことになります。
屋内であれば大丈夫
ちなみにここまでお伝えしてきた内容は「屋外」でのルールになります。
基本的に航空法で規制しているのは、屋外でのドローンの飛行のルールですので、屋内での飛行は問題ありません。
屋内の定義は、建物の中や体育館などが屋内に該当します。
また屋外であったとしても、全方向をネット等で覆っている場合、その中でドローンを飛ばすのは屋内扱いになります。屋内でドローンを飛行させる場合は十分注意してください。
ドローンはGPSを補足して飛行する機械です。
屋内で飛ばすと、GPSを補足したり、補足しなかったりしてドローンが不安定な飛行をすることがあります。
実際に体育館内でドローンの接触事故が起きている事例もあります。屋内だからといって安心せず、人や物との接触に十分注意しましょう。
DID(人口密集地域)とは
簡単に説明すると、「人が密集して住んでいるエリア」のことです。
5年に一回行われる国勢調査の結果によって、DIDかどうか判定されます。
注意する点としては、人口の移り変わりがある場合、DIDのエリアが変わることです。
新しい住宅が建てられ、どんどん人が増えているようなエリアでは、国勢調査の結果によってはDIDに追加される可能性がありますよね。
ドローンを住宅地で飛行させるためには、DIDのエリアについて注意しなければなりません。
禁止されている飛行方法
今回の記事では住宅地の件について述べていますので、飛行の方法については割愛しますが、非常に重要なので必ず目をとおしていただけますと幸いです。
飛行の許可申請が必要
今までご紹介した、飛行禁止場所、禁止されている飛行方法によらない飛行は絶対できないのか?というとそうではありません。
国土交通省に飛行申請をすることにより、ドローンを飛行させることが可能となります。
国土交通省に対して飛行申請を行いたい方は、DIPSという飛行申請ページをご覧ください。
インターネット上のやりとりで、飛行申請をすることが可能です。
飛行可能かどうか確認する方法
では実際にドローンを飛ばせる場所かどうか確認する方法をお伝えします。
特に住宅地での飛行で一番関係するのは、すでにお伝えしたようにDIDのエリアです。
そのDIDのエリアを簡単に把握する方法は、アプリやブラウザを活用して行います。
アプリやブラウザによる確認
- ドローンフライトナビ(アプリ)
- ドローン飛行チェック(アプリ)
- DJI安全飛行フライトマップ(ブラウザ)
iPhoneやAndroidスマホによっては利用できないものもありますが、ストアで検索していただければ簡単に見つかります。
DJI安全飛行フライトマップは、DJIの公式サイトから確認することができます
国土地理院の地理院地図(DID)
DIDの確認をするためには、国土地理院の地理院地図が有効です。
国勢調査の結果をもとにDIDのエリアが更新されますので、最も正しい情報を得ることができます。
航空法以外に関わるルールがたくさんある
ここまでドローンの飛行禁止場所、その中でも住宅地の飛行に関係しそうな内容をお伝えしてきました。
DIDのエリア以外であれば、住宅地でもドローンを飛ばせそうな気がしてきましたよね。
飛行禁止エリアを避けたとしても、まだまだ確認することがあるんです。
小型無人機等飛行禁止法
先ほどご紹介した⑤〜⑧のエリアのような、国の重要な施設の周辺は、小型無人機等飛行禁止法という法律で飛行が禁止されています。
- 国会議事堂
- 首相官邸
- 最高裁判所
- 皇居、御所
- 外国公館
など国の重要施設の上空と、その周囲おおむね300mの周辺地域の上空は、ドローンの飛行が禁止されています。
またこの法律は、人やイベントによっても規制の対象になることがあります。
海外の要人が日本に来る場合や、オリンピックやワールドカップなどのイベントの際にも、この法律で規制されるエリアが追加されます。
いつも飛ばせているから大丈夫ではなく、飛行させる前には国土交通省のHPから情報を取得する癖をつけなければなりません。
道路交通法
道路に対する注意も忘れてはいけません。住宅地であれば、道路がありますよね。
道路交通法では、ドローンに対する規定はありませんが、ドローンは地上1mの高さでも飛行が可能なため、自動車に接近すれば事故の可能性が高まります。
道路を避けて飛行させるか、もし道路の上を飛行させる場合は、警察署へ報告の必要があります。
民法
住宅地で大きく関わってくるのは民法です。DIDのエリアでなかったにしても、他人の私有地の上空は民法で守られています。
道路と同じように、他人の私有地上空は飛ばさないことが大切です。
どうしても飛行させる場合は、飛行させる目的などを住人に説明し、理解を得る必要があります。
個人情報保護法
住宅地の飛行で問題になるものは、個人情報保護です。ドローンは空飛ぶカメラですよね。
もし住宅地で撮影するのであれば、個人情報を特定できるようなものは極力写さない必要があります。
例えば、車のナンバーや家の表札、生活感が判断できる洗濯物も該当します。
これらの情報が写ってしまった場合は、そのデータを利用しない、もしくはモザイクで加工するなどの配慮が必要です。
住宅地で飛ばす上で注意すべきこと
飛行禁止場所でないことを確認し、その他の法律にも注意する必要をお伝えしてきました。
仮に飛行禁止場所の飛行申請をしていたとしても、下記のことには注意が必要です。
「管理者」に声をかけること
先ほどご説明したように、私有地上空は民法によって守られています。
私有地の上空ではなかったにしろ、どこかの土地は誰かのものです。
ここは誰が管理しているのかな?と考える癖をつけ、飛行させる前には連絡する習慣をつけた方がよいです。
カメラの向きに注意すること
個人情報保護法のところでお伝えしましたが、仮に撮影していなくても、カメラの方向によっては、よからぬ嫌疑をかけられます。
特にマンションやアパートなどの高い建物の近くを飛ばす場合は、カメラを向けないようにしましょう。
周囲の方への配慮を忘れないこと
人が集まってきますので、安全面に配慮してください。
ドローンを飛ばしていると、必ずと言っていいほど人が集まってきます。
110番されることも当然あります。
その際に、飛行申請の証明書を持っているのであれば、提示できなければいけませんし、飛行させるための法的根拠を警察官に伝えられるように勉強しなければなりません。
まとめ
今回は、ドローンを住宅地で飛行させるためのルールや知識をご紹介しました。
冒頭でお伝えしたように、住宅地でドローンを飛行させることは簡単ではないことをわかっていただけたのではないでしょうか?
基本的な航空法の知識を覚えることはもちろん、その他の関係法令を意識しなければなりません。
テレビや雑誌で住宅地を撮影しているドローン撮影者は、相当な飛行訓練を行なっていますし、飛行許可申請などは完璧に行なっています。
住宅地での飛行は決して不可能ではありませんが、十分な訓練と法律の理解が必要です。
この記事が、住宅地でのドローン飛行を考えている方のお役に立てば幸いです。