2021年、東京オリンピックの開会式のドローンパフォーマンスを見て操縦してみたいと思った方も多いのではないでしょうか。
「でもドローンって免許がないと利用できないんじゃないの?」と思った方もいると思います。
結論から申し上げますと現在、ドローンは国家資格のような免許はなく、法律やルールを守れば誰でも利用可能です。
そこで本記事ではドローンについて以下のことを中心に解説していきます。
- ドローンとは?
- ドローンの免許・国家資格について
- 現在免許・国家資格が必要ないドローンを利用する際の注意すべき法律やルール
- 現在取得可能なドローンの民間資格について
ぜひ参考にしてください。
ドローンとは?
ドローンは「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」や「無人飛行ロボット」と呼ばれることもあります。
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)は無人飛行機という意味です。
ドローンは東京オリンピックの開会式でのパフォーマンスのようなエンターテインメント関係の仕事や災害時の人命救助などで活躍しています。
ドローンの需要はこれからもっと上がっていくので活躍する場面が増えることが予想されます。
ドローンの免許・国家資格について
ドローンは現在、免許のような国家資格がなくても法律やルールを守れば誰でも利用できます。
ですが、ドローンを利用している人の中には法律やルールを守らず危険に利用する人も残念ながら存在します。
そこで、政府は2021年に「航空法改正案」を閣議決定し、その改正案でドローンの「操縦ライセンス」の導入を決定しました。
このドローンの免許証である国家資格の「操縦ライセンス」の導入により、ドローンへの規制が強くなり、操縦の安全性が向上し危険な操縦をする人が少なくなることが予想されます。
また、「操縦ライセンス」を導入することでドローンの普及もさらに増え、ドローンでの無人運送サービスなどのサービスが現実味を帯びてきました。
ドローンの免許証の「操縦ライセンス」は2種類あり、それぞれ16歳以上から取得でき3年ごとに更新が必要です。
一つずつ解説していきます。
一等無人航空機操縦士(一等資格)
有人地帯での補助者なし目視外の飛行(安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行)の申請が不要です。
また、空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、物件投下等でのドローン操縦が可能です。
二等無人航空機操縦士(二等資格)
「安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行」の申請が不要です。
また、人口集中地区、夜間、無人地帯での目視外、人や物件との距離30m未満でのドローン操縦が可能です。
現在免許・国家資格が必要ないドローンを利用する際の注意すべき法律やルール
先ほど紹介したように、現在ドローンは免許などの国家資格がなくても利用可能なので、法律やルールを守って利用していれば誰でも楽しめます。
ですが、ドローンの法律やルールを知らずに利用している方が多いのも事実です。
そこでここでは、国土交通省が公表しているドローンを日本で利用するときの法律やルールを紹介します。
飛行場所にかかわらず(私有地内であっても)、以下の「禁止エリア」「禁止ルール」の条件でドローンの飛行が制約されるようになりました。ただし、国土交通省より特別な許可をうければ飛行は可能です。
特に都市圏内で許可が無い一般の方・ドローンをとりあえず購入した企業のご担当者さんは、ドローン飛行が自由にできなくなってしまいましたが、私たち撮影業者のように許可を取得している人は、法規制によりルールが明確になり、ドローン飛行がしやすくなったと言えます。
特別な許可を国土交通省より取得すると、右の写真のような「許可証」が発行され、禁止エリア・禁止ルールの飛行であっても許可内容に沿ってフライトが可能になります。
許可なくドローン飛行ができない「禁止エリア」
空港等の周辺(進入表面等) の上空の空域
空港やヘリポートなどの周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域では許可の無いドローンの飛行は禁止です。つまり空港の近くでのドローン飛行は要注意。下記の国土地理院ウェブサイトより確認できますが、撮影予定地の空港事務所へお問い合わせした方がより安全です。必ず許可を取り飛行を行いましょう。
150m以上の高さの空域
航空機やヘリコプターなどとの衝突などを防止するために、上空150m以上での許可の無い飛行は禁止です。
人口集中地区の上空
平成22年の国勢調査の結果による人口集中地区の上空は許可なく飛行が禁止です。繰り返しになりますが私有地であっても許可なく飛行はできません。都市圏でのドローン飛行は多くがこの条件に該当します。詳細は下記の総務省統計局のウェブサイトより確認できます。赤くなっている場所は許可なく飛行ができない人口集中地区となります。
ドローン飛行ルール「禁止ルール」
特別な許可が無い限りは、下記のルールに沿ったドローン飛行を行う必要があります。
よく該当するのは3番目の30m以上の距離を保つルールですが、このルールに関しては私有地内の当事者(依頼者や関係者)の人、建物は該当しません。
1.日中(日出から日没まで)に飛行させること
2.目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
3.人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
4.祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
5.爆発物など危険物を輸送しないこと
6.無人航空機から物を投下しないこと
小型無人機等飛行禁止法について
2016年4月7日には国が定める重要施設付近でのドローン全般の飛行を禁止する、小型無人機等飛行禁止法が施行されました。東京都の永田町周辺と、原子力事業所、サミット会場となる富山国際会議場(富山県)、つくば国際会議場(茨城県)など。周囲おおむね300メートルの地域は飛行が禁止です。詳しくは警察庁ウェブサイトより確認できます。
撮影業者が取る許可の種類
通常、私たちのような撮影業者が許可の手続きを行う場合は、『サンプル商事さんからのご依頼で、サンプル商事名古屋工場の外観を●月●日から■月■日のいずれか1日間でドローン撮影したい』という申請を国土交通省へ提出し手続きをします。手続きが受理されると「許可証」が発行されます。かなり申請内容は端折りましたが大量の書類が必要です(泣)
現在(2016年5月時点)全国からのドローン飛行の申請依頼がパンパンな状態で、許可には数週間かかります。国交省への「いつまでに許可もらえますか?」という質問にも、なかなか返事がもらえない状態です。余談ですが国交省の担当のヒトから、朝方にメールが来たりして、不眠不休で処理されているのかなぁ。と想像してしまうほど依頼が殺到しているような感じです。
あらかじめ撮影スケジュールがはっきりしている許可であれば、どうにか前もって手続きをすれば問題無いのですが、私たちのような撮影業者は「いつお客さまより急な撮影依頼があるかもしれない」状態です。そういった場合に、「撮影場所を特定しない許可申請方法(最大1年間の期間が有効)」があります。書式は撮影場所を特定した書式と同じです。ただし、撮影場所・撮影日時もわからない状態で許可を出すには国交省側も勇気がいるとの事なので、審査はかなり厳しくなっているように思えます。
ドローン空撮 Birds Eyeを運営する思創堂では、日本全国を対象として許可を頂いておりますので、一部条件を除く禁止エリアや禁止ルールの適応範囲内でもドローン撮影が可能となります。
引用:3分でわかる!国土交通省ドローン規制法
上記ルールを守り、安全安心なドローン操縦を心掛けましょう。
現在取得可能なドローンの民間資格について
現在、ドローンを操縦する際に免許のような国家資格は必要ありません。
ですが、安全にドローンを操縦できる証明にもなる民間で発行できるドローンの資格があります。
この資格を持っていれば仕事などで国土交通省への申請が必要な場合に許可申請を簡略化することができます。
また、ドローンに興味がある初心者の方も安全にドローン操縦できるようになるので講習を受けてみてください。
民間で発行できるドローンの資格は以下になります。
- UAS LAVEL2
- DJI CAMP
- JUIDA
- 一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)
- 日本ドローン協会(JDA)
一つずつ解説していきます。
UAS LAVEL2
株式会社ドローンネットが運営する、スカイファイトでは『UAS LEVEL2』、国土交通省・管理団体認定の技能認定資格を取得できます。
スカイファイトでは、コース中に使用するドローンを全て無料レンタルできるので、ドローン購入費用がかからない点がメリットと言えます。
また、スクールのスケジュールは自由に組めるので好きな時間帯で講習可能です。
営業時間は11時~21時です。
スカイファイトで取得できる資格や証明書は、全部で3種類あります。
UAS LEVEL2の資格や飛行証明書を持っていると航空局への飛行許可申請が一部簡略化され、スムーズにドローンを飛ばすことができます。
スカイファイトでは、目的に合わせたコースを選択可能です。
認定資格の受講費用は、認定試験料5,000円とコース代が15万円~22万円(税込)です。
基本的な操縦技術から本格的な空撮テクニックまで身につくコースがあります。
スカイファイトが発行するUAS LEVEL2は、ライセンスの維持が必要なので月額980円が必要です。
基本コースでしたら費用をすべて合計しても、およそ16万円です。
DJI CAMP
大手ドローンメーカーのDJIの日本法人が認定しているDJI CAMP認定資格は、2日間で行われる座学と筆記試験、実技試験を修了し合格したら取得できます。
DJI CAMP認定資格も試験を受ける受講者はドローンの飛行経験が10時間以上の方でなければなりません。
また、基礎的な操縦訓練などがない資格になっているので初心者の方には向いていません。
DJI CAMP認定資格はドローンを仕事などで利用している上級者向けの資格になっています。
JUIDA
日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が認定しているJUIDAドローン資格は以下の2種類から選択して講習を受けられます。
- ドローンの基礎的なことが分かる「無人航空機操縦技能証明証」
- ドローンを操縦する際に関わる安全や法律を理解していてドローンの飛行中の安全管理ができることが分かる「無人航空機安全運航管理者証明証」
JUIDAドローン資格の、技能証明証はドローンに興味があって利用してみたい初心者の方向けの資格です。
もう一つの管理証明証は、先ほどの技能証明証よりも難易度が高くなっているため、能証明証を取得してから受けてみましょう。
一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)
一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)が認定している民間のドローンの資格は「ドローン操縦士回転翼3級」という資格です。
「ドローン操縦士回転翼3級」は以下の2種類あります。
- 初心者向けの「ドローン操縦士回転翼3級 資格認定制度」
- 上級者向けの「ドローン操縦士回転翼3級 インストラクター資格認定制度」
自分のスキルに合わせて選べるのでおすすめです。
日本ドローン協会(JDA)
日本ドローン協会(JDA)が認定している民間のドローンの資格は種類が多く初心者から上級者までおすすめです。
JDA認定している資格は以下です。
- ドローンに関する高度な知識と技能を取得しており、JDAで講師として教えることができると認められる「JDAインストラクター証明書」
- ドローンを業務活用するうえでの高度な知識と技能を習得していると認められる「UAV1級操縦士技能証明書」
- ドローンを業務活用する上での基本的な知識と技能を習得していると認められる「UAV2級操縦士技能証明書」
- ドローンの基本的な知識と技能を習得していると認められる「UAV3級操縦士技能証明書」
- ドローンを活用した業務を行う上で、業務の安全性を高めるための知識が身に付いていると認められる「JDAドローン安全管理者証明書」
- ドローンで農薬散布を行う上での知識と技能を習得していると認められる「JDAアグリドローン操縦士技能証明書」
JDAでは多くの資格があるので、ドローンに興味がある初心者の方からドローンの操縦スキルに自信がある上級者まで自分のスキルに合った講習が受けられます。
まとめ
今回はドローンの操縦には免許が必要なのか解説しました。
現在では、ドローンは免許のような国家資格がなくても法律やルールを守れば誰でも利用できます。
ですが、2022年12月5日に政府がドローンの免許証である「操縦ライセンス」を導入します。
「操縦ライセンス」の導入によってドローンへの規制が厳しくなりますが、その一方で導入によりサービスも増えていく可能性が高まっています。
ドローンに興味がある方は今からドローンについて知識を付けておいても損はないでしょう。