これまで、ドローンを飛ばす際に資格は必要ではありませんでしたが、2022年12月5日からは、ドローンを飛ばすためには、国家資格の取得が必須になります。
本記事では、資格の取得の際に必要な費用について解説します。
ドローンの資格取得にはいくら必要?
民間のドローン認定資格を取得するのにかかる平均的な費用は、20万円~40万円といわれており、かなり高額です。
もちろん、費用に見合う資格取得プログラムを提供しているスクールもありますが、そうでないところもあります。
目的に合った、比較的安価なスクールを選ぶにはどうようにすればよいのでしょうか。
ドローンの資格費用はなぜ高い?
資格を取得するには平均20万円~40万円と高額な費用がかかることがほとんどです。
そこまでの高額な費用がかかるのには、以下の理由があります。
ドローンスクールが乱立、費用に見合わないスクールもある
航空局ホームページに掲載されている「無人航空機の操縦者に対する講習等を実施する団体」は、2021年1月時点で、1,218団体になりました。
初公表した2017年の43団体から、わずか5年間で28倍に急増しています。
ドローン講習会の参入障壁が低いことも、スクール数の急増の一因と考えられます。
2022年1月現在、ドローンの国家資格がないことから、ドローンスクールの資格取得プログラムの内容にもばらつきがあります。
スクールによっては、インストラクターの数が少なすぎたり、飛行訓練が少なかったり、オプション料金が高かったりするという問題もあります。
Webサイトで内容をよく調べないまま、契約してしまい、高額料金を請求されたというトラブルも報告されています。
資格取得後も更新料がかかる
ドローンの資格を取得しても、数年おきに更新料がかかります。
更新料だけでおよそ1万円かかる資格もあります。
ドローンの資格には国家資格と民間資格がある
2022年1月現在、ドローンを操縦するのに必要な国家資格はありません。
しかし2022年12月に、ドローン操縦士の国家資格制度が導入される予定です。
一方、ドローンについての民間の認定資格にはいろいろな種類があります。
民間の認定資格を持っている人は、国家資格を受験するときに、学科や実技試験が免除されるといわれています。
ドローンの国家資格と民間資格、それぞれの費用は?
ドローンの国家資格については、取得費用はまだ発表されていませんが、代表的な民間の認定資格のおおよその取得費用については、次のとおりです。
国家資格
国家資格の費用については、未公表になっています。
更新年数に関しては以下の通りです。
資格名 | 費用 | 備考 |
一等資格(第三者上空飛行に対応) | 未公表 | 3年更新 |
二等資格(第三者上空以外での飛行に対応) | 未公表 | 3年更新 |
民間の認定資格
民間の認定資格の費用は以下の通りです。
またテキスト代などその他費用も記載してあります。
資格名 | 費用 | 備考 |
無人航空従事者試験(ドローン検定1級) | 検定料 18,300円 | 2級用教科書 2,420円(税込)実技講習のあるドローン教習所の費用を入れても、20万円以下 |
DJI CAMP | 受講費用 5万5,000円~11万円(税込) | 専用テキストは、3,300円(税込)認定証発行16,500円(税込) |
JUIDA | スクール費用 20万円~30万円 | JUIDA入会費用(準会員)5,000円(非課税)年会費(準会員)5,000円(非課税)操縦技能証明資格発行費用新規 22,000円(税込)更新 7,700円(税込) |
DPA | スクール費用 20万円~30万円 | 初回認定料 2万5,000円2年ごとの更新に1万2,000円 |
ドローンの国家資格は2つ
2022年から導入が予定されているドローン操縦士の国家の資格は、2種類となっています。取得費用、更新費用については、公表されていません。
一等資格(第三者上空飛行に対応)
一等資格は、第三者上空飛行に対応し、レベル4におけるドローン運用ができます。
都市部など人のいる地域で、ドローン操縦士の目の届かないところまでドローンを飛ばすには、この資格が必須となります。
しかし、レベル4飛行を行うには、国家資格を保有しているだけでは不十分で、第一種機体認証を受けているなどの条件があります。
二等資格(第三者上空以外での飛行に対応)
これまで許可・承認を必要としていた第三者上空以外での飛行に対応します。
機体認証を受けた機体、二等資格を取得した操縦士がドローンを飛行させる場合には、これまで必要だった許可・承認が不要になります。
一方、二等資格を有していない場合は、許可・承認を必要とする第三者上空以外での飛行を行うときに、これまでどおり許可・承認が必要です。
一等資格と二等資格の取得費用については明らかになっていませんが、国が指定する民間の期間で必要な講習を受講し、筆記と実技の試験に合格した後、国土交通省から、免許証が交付されます。
年齢制限、視力や色覚、聴力などの検査もあります。免許の有効期限は3年です。
民間の認定資格にはどんなものがあるの?
民間の認定資格で代表的なものを4つご紹介します。
これらの認定資格には、特徴があり、費用も異なります。それぞれの取得費用について解説します。
UAS LEVEL2
「UAS LEVEL2」は株式会社ドローンネットが運営するスカイファイトで取得が可能です。
スカイファイトでは、コース中に使用するドローンを全て無料レンタルできるので、ドローン購入費用がかからない点がメリットと言えます。
また、スクールのスケジュールは自由に組めるので好きな時間帯で講習可能です。
営業時間は11時~21時です。
スカイファイトで取得できる資格や証明書は、全部で3種類あります。
スカイファイトでは、目的に合わせたコースを選択可能です。
認定資格の受講費用は、認定試験料5,000円とコース代が15万円~22万円(税込)です。
基本的な操縦技術から本格的な空撮テクニックまで身につくコースがあります。
スカイファイトが発行するUAS LEVEL2は、ライセンスの維持が必要なので月額980円が必要です。
基本コースでしたら費用をすべて合計しても、およそ16万円です
認定者数がもっとも多い無人航空従事者試験(ドローン検定)
民間の認定資格の中でも、ドローン検定は認定者数がもっとも多く筆記試験のみで、1級から4級まであります。
ドローン検定は、独学でも受験できますが、独学で勉強する時間を設けることが出来ない人は、スクールを受講してから受験するのが得策と言えます。
また、ほかの資格に比べて、費用が安いのもがドローン検定の特徴です。
ドローン検定は、無人航空機を扱う従事者の知識レベルを評価し、その資質向上と周囲の方への理解を広めることを目的としています。
試験の内容は以下になります。
受験料は級ごとに異なり、受験料のほかに
3級と4級に対応した「ドローンの教科書 標準テキスト」
2級に対応した「ドローンの教科書 上級テキスト」を、必要に応じて購入する必要があります。
販売価格は、それぞれ2,420円(税込)です。
級 | 受験資格 | 受験料(税込) |
1級 | ドローン検定協会主催ドローン検定2級取得者 | 18,300円 |
2級 | ドローン検定協会主催ドローン検定3級取得者 | 12,200円 |
3級 | 条件なし | 5,600円 |
4級 | 条件なし | 3,000円 |
ドローン検定は筆記試験のみですが、ドローン検定協会が全国に展開する「ドローン教習所」ではドローン操縦士養成講習を実施しており、実機訓練も含む教習を受けることができます。
ドローン教習所の受講内容
座学1
4時限の中で、ドローンに関する法令、ドローンを安全に飛行させるための知識を深めるための座学を行います。
本講習を修了すると「無人航空従事者試験3級」が認定され、合格証が郵送されます。
※座学1はドローン検定に合格している場合に免除されます。
座学2
について1時限の座学を行います。
※ドローン検定の合格者は座学1が免除され、座学2からスタートします。
シミュレーター訓練
シミュレーターを使って、初心者が操縦技術、操縦感覚を身につけられるように訓練を行います。
シミュレーターでは、初心者にありがちな、ドローンを破損してしまったり、墜落させて人に危害を加えてしまったりなどの危険性がないため、初心者でも効率的に、安全に飛行訓練を受けることができます。
ドローン教習所によってシミュレーター訓練時間は異なります。
実機訓練
天気に影響されない屋内にて実物のドローンを使って飛行訓練を行います。
自然に左右されない環境で訓練を受けることができ、初心者でも訓練に集中することができ、技能を高めることができます。
実機訓練時間はドローン教習所によって異なります。
修了試験(技能)
実機を使い、ドローンの基本的な操縦技術が習得できているかを確かめる、技能試験です。
合格
修了試験を合格すると「ドローン操縦士」として認定されます。
また、この修了認定証によって国土交通省への許可承認申請時に、書類の一部を簡素化できます。
受講料は、次のとおりです。
※スクールによっては、入学金が別途かかる場合があります。
項目 | 受講料 |
座学 1時限あたり | 5,500円 |
シミュレーター訓練1時限あたり | 5,500円 |
実機訓練1時限あたり | 13,200円 |
修了試験 | 8,800円 |
ドローン検定費用とテキスト代を合計すると、およそ2万円になります。
ドローン教習所の料金を加えても、20万円以下で収まる可能性があるので、比較的優しい費用で資格を取得することができます。
DJI CAMP
DJI CAMP(ディー・ジェイ・アイ・キャンプ)は、中国の大手ドローンメーカーDJIの日本法人が主催する民間資格です。
ほかの民間資格と異なる点が、DJI機体に特化しているという点。
DJI機体の正しい知識と操縦方法、飛行モラルについて認定試験を行っています。
「DJI CAMPスペシャリスト認定講座」では、10時間以上の飛行経験がある操縦者に対して2日間にわたり行われます。
内容は以下の通りです。
受講費用は、5万5,000円~11万円(税込)です。
キャンパスによって異なるため、受講前にDJI CAMPの開催概要を確認は必ずしておきましょう。
受講前に座学で使われるテキストを購入する必要があり、DJI CAMP技能認定専用テキストは、3,300円(税込)です。
以下3点を経て「DJI CAMPスペシャリスト認定証」が発行されます。
認定証の発行には、別途16,500円(税込)が必要になり、有効期限は2年です。
合計すると、およそ24万円の費用がかかります。
JUIDA
JUIDA(ジュイダ:Japan UAS Industrial Development Association)認定資格は
「一般社団法人日本UAS産業振興協議会」が認定しているドローンの資格です。
ほかの民間の認定資格に比べ、ドローンを安全に運行するために必要な知識が身につくスクールだと話題です。
JUIDA認定スクールには、2つのコースが設定されています。
スクールの受講期間は平均して3~4日です。
スクールによって費用は異なりますが、20万円~30万円程です。
費用とは別に、会費や資格発行費用がかかったり、証明証の有効期限は2年で、更新手続きが必要です。
JUIDA入会費用(準会員) | 5,000円(非課税) |
年会費(準会員) | 5,000円(非課税) |
操縦技能証明資格発行費用 | 新規 22,000円(税込)更新 7,700円(税込) |
安全運航管理者証明資格発行費用 | 新規 16,500円(税込)更新 3,000円(税込) |
合計すると、およそ33万円の費用がかかります。
DPA 認定資格
DPAとは「一般社団法人ドローン操縦士協会」の略称であり
DPA(ディーパ)認定資格は、DPAが認定している資格です。
DPAは、産業利用を前提とした操縦技術を取得できるカリキュラムや、国土交通省の管理団体認定基準を順守して作成されたプログラムが特徴です。
民間の認定資格に比べて、実技に重点を置いた資格といわれています。
DPAの認定資格は2種類あります。
- ドローン操縦士回転翼3級
- ドローン操縦士回転翼3級 インストラクター
スクールによって受講料は異なりますが、20万円~30万円程で受講することができます。
操縦士とインストラクターの両方の認定資格を取得した場合
初回に2万5,000円、2年ごとの更新に1万2,000円の費用が認定料としてかかります。
合計すると、およそ33万円の費用がかかります。
最も費用を安く抑えることができるドローン資格は?
最も費用が安いのがドローン検定です。
「ドローンについての理解を深めたい」
「ドローンの仕事にいずれ就きたいけど、まだ見通しが立たない」
など、ドローンの資格をお試し感覚で取得してみたいと思っている方には、ドローン検定を受けてみるのがよさそうです。
どの資格を取得すればいいの?
2022年に導入される国家資格と、民間のドローン認定資格の費用についてご紹介しました。
国家資格制度が導入されれば、レベル4の飛行を行う場合、「一等資格」を取得しなければなりません。
レベル4以外も、「二等資格」を取得しておけば、飛行の許可・承認がおりやすくなるなどのメリットがあります。
まずは、国家資格を取得するのが、早道といえるでしょう。
一方、民間のドローン認定資格には、それぞれ特徴があります。
用途に合った民間資格を取得しておくと、仕事の幅が広がり、社会的な信用も得やすくなります。
操縦する機体と目的によって、最適な資格を取得するようにしましょう。
スクール選びに迷ったら?
スクールによっては、無料オンライン説明会や、無料の体験講座を実施している場合もあります。
まずは、そういったものに参加してみましょう。
また、インターネット上の口コミなどで、スクールの評判も確認できます。
資格以外にも、機体の登録費用がかかる
2022年6月20日、ドローン機体の登録が義務化されます。
未登録の機体を飛ばすと、航空法に基づき、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
所有している機体が複数ある場合、それぞれの登録をすませ、機体に登録番号を表示する必要があります。
オンラインで登録申請をすると、1機につき900円、紙媒体で申請すると2,400円かかります。
3年ごとに更新手続きが必要です。
登録記号が発行されると、機体の目立つところに、明示しなければなりません。
また、遠隔地から機体と機体の所有者の情報を識別できるようにする「リモートID」の機体搭載も義務化されます。
資格以外にも、費用がかかることを頭に入れておく必要があります。
まとめ
ドローンの資格には、さまざまなものがあります。用途に合ったものを取得するのはもちろんですが、まずは費用の安い資格から取得するというのもよいかもしれません