インダストリー4.0のコアテクノロジーの一つであるドローン。
インダストリー4.0とは、製造業にIT技術を取り入れ、改革を目指すというもので「第4次産業革命」とも呼ばれています。
ドローンの利用は、物流やメンテナンス作業、農業までその利用用途は幅広くなると期待されています。
ドローンを利用すれば、これまでのビジネスの形態を刷新することができるでしょう。
この記事では、ドローンをビジネスに導入するにあたって、そのメリットやデメリットは何なのか、実際にどのようなことに導入することができるのかを解説していきます。
この記事を読めば、ドローンビジネスの概要を理解していただけるでしょう。
ぜひ最後までご覧いただければと思います。
ドローンとは
航空法第2条22項では「無人であり、遠隔操作または自動操縦で飛行できる、200g以上の重量の機体」がドローンとされています。
そもそもは、軍事利用を目的に開発が進んでいた技術で、無人偵察機や、無人船舶、無人車両など幅広い機器をドローンと呼んでいました。
ドローンという言葉が無人航空機を意味するようになったのは、2010年以降です。
ドローンの種類
ドローンの種類には、マルチコプター型、固定翼型、ヘリコプター型、飛行船型、グライダー型に分けられます。
現在の日本でドローンと呼ばれるものはマルチコプター型です。しかし、単にマルチコプターといっても種類があります。
その分類の仕方は、回転翼の数によって変わります。
トライコプター、クアッドコプター、ヘキサコプター、オクトコプターとプロペラの数に応じて呼称が変化します。
トライは3つのプロペラが装備されており、クアッドは4つのプロペラ、ヘキサは6つのプロペラ、オクトは8つのプロペラが装備されているドローンです。
プロペラの数に偶数が多いのは、偶数個のプロペラを装備している方が、機体の安定性が保てるからです。
奇数個だと機体の左右でバランスが取りにくくなるので、あまり採用されません。
ドローンビジネスの特徴
ドローンビジネスの一番の特徴は、ドローンにより空路を利用できることです。
空路を利用した物流の開発や、農業分野では空から農薬散布してより効率的に農作業を進めることができます。
また、高層ビルなどの高所でのメンテナンス作業もドローンを利用すれば、地上から安全に行うことができます。
このようにドローンを利用することで、今まで利用できなかった空路を扱うことができるので、物流、農業、建設などの分野でドローンによるイノベーションが推し進められることが期待できます。
ドローンビジネスは難しい
今注目されているドローンビジネスは、始めるのが簡単そうに見えますが、事業として始めるには、難しいこともあります。
その難しさには以下のものがあげられます。
安易に儲かると思うのは危険
ドローンの市場規模は、2020年には2兆円を超えるという調査結果があるほど、現在ホットな市場です。
しかし、その大半は軍事目的の開発が占めており、民間のサービスは市場の半分にも満たしていません。
そのため、ドローンビジネスを始めるなら、軍事目的のサービスや商品開発に注力するか、あるいは民間サービスとして今までにないイノベーションサービスを始めるしかありません。
つまり、市場に新規参入したからといって、簡単に儲けることは難しいと言えます。
ドローンの操縦士の需要
ドローン市場は今後拡大が見込まれる市場です。
そこで問題になるのが、ドローンの操縦者不足です。
民間においてドローンの需要が多いのは、インフラの点検業務などの産業用ドローンが大半を占めます。
この場合、社内にドローン操縦者を育成するかあるいは、ドローン操縦者を外部委託することがあげられます。
しかし、長期的な視点からいうと、ドローン操縦者を外部委託するよりも、社内で育成する方がメリットが大きいと思われます。
その理由は、産業用のドローンの場合、その産業の専門的な知識が必須になってくるからです。
ドローンの操縦を外部委託するのは、短期的には便利でメリットがあると思いますが、長期的な視点で考えると、人材の育成につながりません。
なので、短期的にはドローン操縦を外部委託し、その作業を社員と共同で実施してもらいながら、ドローンの操縦を社員に覚えさせ、最終的には外部委託しなくても良いように、社員のドローン操縦能力の底上げをしていくのが妥当な解決方法です。
ドローンをビジネスに活用することのメリット
ドローンをビジネスに活用するメリットは以下のことがあげられます。
既存の交通路に関係なく移動できる
既存の交通路を気にすることなく、農作業や点検作業を進められることです。
これまでの産業用機械は移動に伴い、既存の交通路を利用するしかありませんでした。
しかし、ドローンの場合は、空中全体がテリトリーとなります。
そのため、これまで危険が伴ったり、あるいは不可能な作業動作が可能となりました。
高層ビルの外観点検などの危険な作業がそれにあたります。
既存の交通路に捉われることなく、移動できるのは、ドローンの最も大きな利点といえるでしょう。
将来的に人を運べるようになる
小さなものを運ぶことしかできない小型のドローンが主流ですが、将来的には人さえも運べるドローンも登場するでしょう。
すでに人を移動させるためのドローン開発が進んでいます。
たとえば、中国のドローンメーカであるEhangでは、人一人を乗せて移動するドローンの実証実験が推進されています。
ドローンの構造は4本脚があり、各脚に2つずつのプロペラが装備されています。
そして計8つのプロペラによって、揚力を発生させる仕組みになっており、とてもシンプルな形態となっています。
さらに、行先の住所を入力すれば、自動的に移動するような仕様となっており、操作は至って簡単です。
今後はEhangだけでなく、全世界においてドローンを模した人乗車型のドローンの開発が進むことでしょう。
ドローンをビジネスに活用することのデメリット
ドローンビジネスが今後発展していくことは間違いありません。
ただ、ドローンビジネスが展開されるなかで、デメリットもあります。
それは以下の通りです。
ドローン同士の衝突や事故が起こる
ドローンの利用があたり前の時代になるということは、空中にドローンが飛び交うような状況になることを意味しています。
空中に無数のドローンが飛び交うのであれば、ドローン同士の接触事故も起きるようになるでしょう。
そのため、GPSやドローン自身に装備されているセンサーにより、他のドローンと接触しないように移動させるドローン管理システムの開発が重要になってきます。
また、管理システム以外にも、急な天候の悪化や、機体のメンテナンス不足などによって発生する事故も起きることでしょう。
そのような事故が起きないように、ドローンの管理体制を強固なものにする必要があるでしょう。
ドローンが飛行中に故障すると墜落して人に危害を与える
ドローンが飛行中に故障を起こすこともあり、その場合、地上を歩行する人達に激突する可能性があります。
実際にドローンのコントロールが上手くいかず、上空からドローンが墜落してしまったケースも報告されています。
そのケースでは事故原因は、電波障害だと推測されています。
ドローンは電波によって制御されているので、その電波が及ばないエリア、例えば山間部や電波塔などにドローンが入ってしまうと、電波による制御ができなくなり、最悪ドローンが墜落してしまう恐れがあるのです。
人口密集地でのドローンの扱いはとくに気をつけなければなりません。
ドローンビジネスが今熱い
ドローンは今熱いビジネス領域となっています。
なぜかというと、ドローンを利用することで、空の産業革命が起きるとされているからです。
とくに物流業界には大きなインパクトを起こす可能性を秘めています。
今まで、陸路でしか運送できなかったものが、空路にとって変わり、様々な移動において出発点と行先を直線的に結ぶことができるからです。
これにより物流の効率化が図られることは間違いないでしょう。
また、物流以外でも、人的リソースが少ない分野、例えば農業分野にも大きなインパクトを与える可能性があります。
ドローンの操縦は老若男女をとわず、誰でも扱うことができるので、人的リソースの少ない分野や、作業員の高齢化が進んでいる分野では大きく活躍することが予想できます。
従来では考えられないような産業革命がドローンを起点として起こることが期待されています。
ドローンの活用事例
ドローンが秘めている可能性は無限大です。
ここでは、ドローンの用途としてどんな分野で利用されるか紹介していきます。
動画制作分野
まず、動画制作分野で利用されることが考えられるでしょう。
すでにテレビでは、ドローンによって空撮した映像が流れることも多くあります。
最近では、イギリスのサッカーの試合にドローンを使ったケースがあげられます。このケースは、サッカーボールを自動で追跡するドローンを製作し、試合を中継するといった試みでした。
ただ、このケースでは、ドローンが審判や選手の頭をボールだと勘違いして、追跡していまい、サッカーの試合を十分に楽しめなかったというアクシデントがあり、まだまだ改良の余地があることが明白となりました。
測量分野
測量分野でもドローンの活躍が期待されています。
これまでは、航空写真による測量は外部委託するしかありませんでした。
しかし、老若男女が利用できるドローンを使った空撮測量では、わざわざ外部委託する必要もなく、長期的視点でみた場合、コストや人的リソースを大幅にカットできます。
たしかに、ドローンの操作に慣れるまでは、時間と手間がかかることが予想できます。
しかし、将来的には、ドローンの操作にも慣れ、ドローンの使い方が分かってくれば、これまでに無い作業効率で空撮測量を推し進めることができるでしょう。
農業分野
農業分野でも、ドローンによる革命が期待できます。
農業では、1980年代に農薬散布のため、初めてドローンが導入されました。
それから、40年ほど経ち、農業用ドローンは大きな発展を遂げてきました。
これからはドローンを中心としたスマート農業が発展していくことでしょう。
ドローンの進化により、農薬の散布もピンポイントで行うことが可能となりました。
また、農作物の生育状況や病虫害のセンシングなどもできるようにドローンの開発が進んでいます。
これまでのように、ただ農薬散布を行うだけでなく、農業において必要になるさまざまな作業をオートメーション化できることも期待できます。
物流分野
物流においては、すでにアフリカでドローンが活躍しています。
物流にもさまざまなものがありますが、アフリカではとくに医療用品の物流が進んでいます。
アフリカでは、広い地域に小さな診療所が点在しています。
しかし、陸路が整備されていないため、点在している診療所に医療用品を運ぶことが困難なことが多い状態になっていました。
そこで、空路を利用できるドローンを利用することで、医療用品における物流の効率化を推し進めることができています。
ただ、日本でも同じ様にドローンによる物流の効率化が簡単に図れるかというと、そうはいかないと考えられます。
とくに首都圏では、高層ビルが多く存在し、人口も密集しているため、頭上にドローンが飛び交うのは、大きなリスクがあるからです。
そのため、まずは人口が少なく、高層ビルもない、地方地域でドローンを使った物流を推し進めて、その実績を踏まえて、首都圏にもドローン型物流を推進していくのが無難なところだと考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここまでドローンとは何か、ドローンをビジネスに利用するメリットやデメリットは何なのかを述べてきました。
この記事での内容を整理すると以下の通りです。
- ドローンとは、無人であり、遠隔操作または自動操縦で飛行できる、質量200g以上の機体。
- ドローンビジネスの特徴は、空路を利用できること。
- ドローンをビジネスに利用するメリットは、既存の交通路を利用しなくてもよいこと。
- ドローンをビジネスに利用するデメリットは、ドローン同士の衝突事故が起きうること。
- ドローンの活用事例は多くあり、動画制作や測量、農業、物流などさまざまなことにドローンを利用できる。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。