この記事では、これからドローンを利用してみたい人、ドローンについて知りたい人へ向けた情報をお届けします。
ドローンの活用方法や許可制度など、国土交通省をはじめとした公式の情報を参考に、わかりやすく解説します。
ドローンとは?
近年、急速にシェアを拡大しているドローンについて概要を解説します。
ドローンの概要
ドローンとは、GPSやセンサーなどのシステムにより自動飛行ができる「無人航空機」のことです。
無人航空機は、人を乗せる機能のない航空機をいいます。
また、ドローンは位置情報システム利用などテクノロジーを組み合わせ「自動運転ができる」というのがポイントです。
人が操縦して飛行させるラジコンなどは、ドローンではありません。
核施設や森林地帯、災害など人が立ち入ることが難しい場面での活用や、少子高齢化による運送業務や点検業務など、人手不足への打開策としての活用が期待されています。
ドローンの定義
ドローンは、航空法において「無人航空機」のうち「ドローンなど」に区分されます。
無人航空機は、人が乗る機能がないもので、遠隔操作や自動操縦により飛行させられるものをいい、次のような機体があります。
- ドローンなど
- 人が乗る機能がない飛行機
- 回転翼航空機
- 滑空機
- 飛行船
これらのうち「ドローンなど」には、ドローン・マルチコプター・ラジコン・農薬散布ヘリコプターなどが含まれます。
どれも「無人航空機」ですが、機体の重さが200g未満の場合には「模型航空機」に分類されます。
なお、2022年6月より、200g未満ではなく100g未満が模型航空機に分類されることが決まっています。
これまで、ドローンなどに位置づけられなかった機体も、飛行条件が必要になるものが出てくるということです。
ドローンをめぐる国の動き
2022年度、ドローンに関するルールや制度が大きく動きました。
ドローンのレベル4飛行(有人ゾーンでの目視外飛行)が、2022年度の政府目標となっており、実現すれば都市部上空での点検業務や配送業務などの利活用が期待されています。
そのため国は、ドローン飛行の安全性を保証する「機体認証制度」、操縦技能を証明する「技能証明制度」を施行しました。
この認証・証明を受けた機体を操縦する場合、これまでのような許可手続きなどのロスを削減、レベル4飛行を合理的に可能とし、ドローン業務が身近なものになります。
ドローンの活用方法は?
ドローンの活用方法は未知数です。
現時点では、人の立ち入れない場所の撮影や点検、測量など産業に関わることに利用されています。
また、スポーツのフォーメーション分析やイベント演出など、エンターテイメントの場でも活用されています。
現在、ドローンの飛行可能条件には厳しい規制があり、利用は限定的です。
そのため、活用シーンを拡大するため、急ピッチで法整備が進められています。
ドローンにまつわる免許制度やルールが整っていけば、さらに多くの場での活用が期待できます。
現状(2022年12月時点)では、次のようなシーンでの活用が広がっています。
- 空撮
- ダムや太陽光発電などの設備点検
- 農薬の散布
- 災害被害状況の調査
- スポーツ競技の分析
など、今後は次のようなシーンでの活用が期待されています。
- 宅配の担い手
- 災害時の電波中継
- 人が立ち入りにくい自然環境の状況確認
- 危険区域やトンネル内の調査
- イベント施設などの点検や警備
ドローンに関連する法律は?
ドローンに関係する法律は、航空法・電波法・道路交通法・民法・産業廃棄法・重要文化財保護法・条例など、複数にわたります。
中でも「航空法」と「電波法」が深く関連しています。
航空法では、ドローンを飛行させるために必要なルールや許可申請などが定められています。
電波法では、ドローンの周波数と使用目的による操縦資格が定められています。
ここで、ドローン時代を迎えるにあたり、ドローン操縦の予定がない人も知っておきたいポイントをみてみましょう。
航空法
ドローンに関連する航空法について、概要をみてみましょう。
ドローンを飛行させることができる場所は?
現在、ドローンを飛行させることができる空域は、墜落時のリスクが小さい場所に限られます。
具体的には、次の空域以外なら飛行させることができます。
- 空港周辺の上空
- 高度150m以上の飛行
- 人口集中地区の上空
このような場所を飛行させるには、事前に国土交通省の許可が必要です。
ドローンを飛行させるためのルールとは?
ドローン飛行では、車や自転車を運転することと同じようにルールを守る必要があります。
ドローンを飛行させるには、次のようなルールを遵守します。
- 日中に行う
- 目視できる範囲
- 人(第三者)やモノと30m以上の距離を保つ
- イベント時や人の集まる場所では飛行させない
- 危険物を載せない
- ドローンからものを落下させない
- 飲酒しているときは飛行させない
- 飛行時の気象確認や機体点検をする
- 周囲の状況に応じて降下させる
- 高調音、急降下など迷惑な飛行をしない
イベント空撮など、ルールを外れる場合には、事前に国土交通省の許可が必要です。
電波法
ドローンに関連する電波法について、概要をみてみましょう。
認証マークのあるドローン機体を使おう
電波法では「技術・基準適合認証マーク」がないドローン利用を違法としています。
これは、空中にはさまざまな電波がとびかっていることから、他の通信に妨害を与えないように飛行する必要性を意味しています。
日本国内で使用可能な電波帯であるかを問うもので、海外の通販サイトで購入したものは注意が必要です。
国内正規販売店で購入すれば問題ないでしょう。
周波数別・利用シーン別に必要な免許
ドローン操縦や撮影に利用する電波帯が5.7GHz・5.8GHzの場合には、趣味利用の場合「第4級アマチュア無線技士」、ビジネス利用の場合「第3級陸上特殊無線技士」などの免許が必要です。
国内で販売されている2.4GHz帯のドローンを利用する場合は、特に免許は要りません。
基本的な免許の必要条件を整理しておきましょう。
- 国内で流通している大手メーカー製ドローンであれば、周波数は2.4GHz帯、送信出力は10mW/MHz未満なので、免許や資格は必要ありません。なお、2.4GHz帯は、家電やWi-Fiなどに利用されている身近な電波帯です。
- ドローンレース(ゴーグル利用)の場合、使用する周波数は5.8GHz帯なので、「第4級アマチュア無線技士」の資格が必要です。賞金やビジネスでのレース参加では、ビジネス利用に該当するので「第3級陸上特殊無線技士」の資格が必要です。
- 産業やビジネスでドローンを利用する場合、一般的には長距離利用が可能な5.7GHz帯の産業用ドローンが使われるでしょう。この場合には「無線局免許」「第3級陸上特殊無線技士」などの資格が必要です。
これらの免許制度は、今後大きく変わっていく可能性があります。
後述しますので、ぜひ最後までご覧ください。
その他ドローンに必要な法律
ドローンに関連する法律は、航空法・電波法以外にもあります。一例をみてみましょう。
小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法では、国会議事堂や内閣総理大臣官邸などの重要施設や原子力事業所の上空・周辺は市民によるドローン飛行が禁止されています。
禁止ゾーン例:国会議事堂・総理官邸・最高裁判所・皇居・外国公館・自衛隊施設・五輪W杯関連施設など
民法
民法では、私有地上空のドローン飛行は所有者の許可が必要と定めています。
第三者の所有する土地の上空を飛行させる場合には、許可を得るのを忘れないようにしましょう。
道路交通法
道路交通法では、交通に影響する飛行は警察による許可が必要と定めています。
- 道路上で人や車、モノにぶつかる可能性のある高度で飛行しない
- 道路上でのドローン離発着はしない
道路交通法ではこのようなポイントがあります。
なお、道路の上空なら交通に影響しないので飛行して良いのかという点に注意です。
道路上空のドローン飛行は、第三者の上空飛行に該当するので、航空法違反になります。
ドローンを操縦するときには、複数の法律に触れないよう、知識をしっかりと身につける必要がありそうです。
廃棄法
ドローンと廃棄法の関連としては、機体を山林などに放棄してはいけないというものです。
ドローンには、バッテリーや電子部品が組み込まれているので、産業廃棄物に該当するため、ルールに則った方法で処分する必要があります。
実は、廃棄法との関連はもう1つあります。
山林部や河川敷などにおける、不法投棄の防止などの監視をドローンが行うことも予想されており、関連性が意外と高い法律になりそうです。
重要文化財保護法
重要文化財保護法では、ドローンにより文化財を損傷した場合の罰則を定めています。
重要文化財には、城・歴史的建造物・古墳などがあります。
迷惑防止条例
迷惑防止条例では、盗撮など他人のプライバシーを侵害する飛行を条例違反としています。
民家の窓からの撮影などはもちろん、海水浴場での撮影なども、迷惑防止条例に触れる可能性があります。
特に、撮影したものをSNSで拡散する場合には、さらに重い罰則が課される可能性があります。
公園条例
自治体によっては、公園でのドローン飛行を禁止している場合があります。
東京都では都立公園すべてがドローン飛行禁止ゾーンとされています。
ドローンを飛ばすための許可は?
ドローンを条件外飛行するには事前許可が必要です。
条件外とは、空港周辺や高さ150m以上の上空、住宅地の上空で飛行させる場合、夜間に飛行させる場合などをいいます。
許可申請は、3〜4週間前に、国土交通省のHPから行います。
飛行場所・飛行方法がどの規制に触れるのかを事前に調べて、内容に応じて航空局と航空事務所などへの申請書を作成します。航空局での書類審査にパスすれば、承認され飛行許可証が送られます。
窓口などに直接出向く必要はなく、オンライン申請とメール、郵送で完結できる許可申請システムです。
ドローン免許について
ドローン免許について解説します。
ドローン飛行レベル
ドローン飛行には、危険度に応じて、次のように飛行レベルが区分されています。
「レベル1」
レベル1飛行は、空撮・農薬散布・送電線・橋の点検など、人のいない場所で目に見える範囲の趣味や業務に利用されます。
・目視内飛行
・手動操縦
により行われる飛行が、レベル1に区分されます。
「レベル2」
レベル2飛行は、空中からの測量・太陽光発電の点検・ダム撮影など、人のいない場所で広い施設の業務に利用されます。
・目視内飛行
・目視外飛行
・自動飛行
により行われる飛行が、レベル2に区分されます。
「レベル3」
レベル3飛行は、無人エリアの物流・災害調査・山間部インフラ・測量・点検など、人のいない場所で広域にわたる業務に利用されます。
・目視外飛行
・無人エリア
・完全自動飛行
により行われる飛行が、レベル3に区分されます。
「レベル4」
レベル4飛行は、有人エリアの物流・災害調査・物資運搬・都市部インフラ点検・警備など、人のいる場所での業務に利用されます。
・目視外飛行
・有人エリア
・完全自動飛行
により行われる飛行が、レベル4に区分されます。
この「レベル4」条件でドローンを飛行するために、新たな免許制度が整えられているところです。国は、ドローンの有人エリア飛行に向けての社会実装を具体的に準備しています。
ドローン免許が必要な危険度
ドローンを飛行させるために免許制度が重要視されるのは、レベル4飛行です。
レベル4飛行とは、人のいる上空を自動で飛行させることです。
レベル4飛行が、暮らしのなかに活用されれば、都市部のインフラ点検や宅配など、身近な場面でドローンが役立ちます。
人手不足解消や少子高齢化による、働き手不足にも貢献するでしょう。
利便性が大きいと同時に、ビルへの衝突や墜落による人への衝突など、リスクが大きいのもレベル4飛行です。
国は、安全にレベル4飛行の普及を実現させるべく、免許制度を開設するとしています。
ドローンを活用する社会を実現するにあたり、すべての飛行許可をその都度、申請していては膨大な時間と手間がかかって現実的ではありません。
免許制度を実現させることが急務ということです。
免許制度でどう変わるのか
免許制度が始まり、レベル4飛行に許可・承認が不要になりました。
免許制度により、ドローンに関して何が変わっていくのか、大きなポイントは次の2点です。
機体の認証
機体の安全性に関する承認制度で、国および国の登録を受けた民間検査機関が行います。
飛行レベルにかかわらず、100g以上のすべての機体が対象です。2022年6月から登録が義務化されました。
操縦ライセンス
操縦技能に関する証明制度で、国および国の登録を受けた民間講習機関が行います。
免許の内容は飛行方法や操縦機体により「一等免許」「二等免許」に区分されます。
居住地など人のいる場所で操縦するには「一等免許」が必要になります。
「機体の認証」「操縦ライセンス」この2つの制度が両立することで、人のいる場所での安全なドローン活用が実現できると期待されます。
ドローン国家資格はどれを取ればいいの?
ドローンの資格は、ドローンの飛行レベルによって異なります。
たとえば、都市部など人のいる地域で、ドローン操縦士の目の届かないところまでドローンを飛ばそうと思ったら、一等資格が必要です。(第三者上空飛行)
ただし、一等資格を取得しただけでは不十分で、第一種機体認証を受けていること、適切な運行管理体制を設けていること、安全確保措置を講じることなどが必要で、飛行ごとの許可・承認が必要です。
これまで許可・承認を必要としていた第三者上空以外での飛行を行う場合は、二等資格で対応できます。(第三者上空以外での飛行に対応)
民間のドローン操縦資格を持っている人はどうなる?
すでに民間の認定資格を取得している人はどうなるのでしょうか。
国の登録を受けた民間講習機関が実施する講習を修了した場合は、国家資格試験の一部または全部を免除されるといわれています。
具体的にどの部分が免除されるのかは、現時点では明らかになっていません。
民間の認定資格にはどんなものがあるの?
民間の認定資格の代表的なものには、次のようなものがあります。
- UAS LEVEL 2
- ドローン検定
- DJI CAMP認定資格
- JUIDA認定資格
- DPA認定資格
民間の認定資格はどうやって取るの?
民間資格を取得するには、各団体が認可したスクールの講習会を修了し、認定試験を受けて合格するのが一般的です。
ただし、「ドローン検定」は講習会に参加しなくても受験できます。
民間の認定資格を取得するメリットはあるの?
結論からいうと、民間の認定資格を取得するメリットは大きいです。
ドローンを操縦するときには、さまざまな法規制に従う必要があります。
- 航空法
- 小型無人機等飛行禁止法
- 電波法
- 道路交通法
- 条例
これらを独学でマスターするには、かなりハードルが高いです。
ドローンスクールに通って、民間資格を取得することにより、法規制の知識や安全ルールが身につきます。実技試験があるスクールもあるので、飛行技術も身につきます。
また、資格取得後は、面倒な国土交通省の飛行許可申請の手間を省くことができます。
民間の資格保有者は、国家資格を受験するときに、学科や実技試験が免除される可能性があります。
ドローン操縦に必要な知識が身につくカリキュラムになっているため、民間資格を取得することに大きなメリットがあると言えるでしょう。
民間の認定資格を取得する主なメリット
民間の認定資格を取得する主なメリットは以下のとおりです。
- 法規制や安全知識を学べる
- 国土交通省の飛行許可申請で手間を省ける
- インストラクターから操縦技術や知識を学べる
- 操縦技術の証明書になり社会的な信頼を得られる
- 保険などの割引制度がある
- 国家試験を受験するときに、学科や実技試験が免除される可能性がある
UAS LEVEL2
株式会社ドローンネットが運営する、スカイファイトでは『UAS LEVEL2』、国土交通省・管理団体認定の技能認定資格を取得できます。
スカイファイトでは、コース中に使用するドローンを全て無料レンタルできるので、ドローン購入費用がかからない点がメリットと言えます。
また、スクールのスケジュールは自由に組めるので好きな時間帯で講習可能です。
営業時間は11時~21時です。
スカイファイトで取得できる資格や証明書は、全部で3種類あります。
UAS LEVEL2の資格や飛行証明書を持っていると航空局への飛行許可申請が一部簡略化され、スムーズにドローンを飛ばすことができます。
スカイファイトでは、目的に合わせたコースを選択可能です。
認定資格の受講費用は、認定試験料5,000円とコース代が15万円~22万円(税込)です。
基本的な操縦技術から本格的な空撮テクニックまで身につくコースがあります。
スカイファイトが発行するUAS LEVEL2は、ライセンスの維持が必要なので月額980円が必要です。
基本コースでしたら費用をすべて合計しても、およそ16万円です。
まとめ
ここまで、ドローンに関連する法律や免許制度についてフォーカスしてお伝えしました。
ドローンに関する制度はこれからも変化していくことが予測されます。
常に情報をチェックして、安全なドローン利用をしていけるよう心がけたいですね。