地震や大雨など自然災害による被害での災害時用ドローン、人口減少からなる農業の人手不足を補うための農業用ドローン、地方PRに用いられる産業用ドローンの利用など幅広い分野で注目を集めています。
この記事では、各自治体によるドローンの活用事例について解説していきます。
自治体におけるドローン利用の動き
コンパクトなドローンは初心者でも扱いやすく、かつリーズナブルなので誰でも活用できます。
また、カメラを使って災害現場の被害の確認や支援物資の運搬など一層活躍の幅を広げています。
【ドローン開発企業の誘致】宮城県大郷町
大郷町では高齢化や若者の流出による人口減少が多く、それによる農業の担い手が不足しています。
ドローンを利用することで、業務の効率化を図り担い手不足を解決します。
また、ドローン開発企業を誘致することで町おこしを実施、若者の定住化を図る計画をしています。
【ドローンによる橋梁点検】千葉県君津市
君津市内にはおよそ227の橋があり、一つ一つを点検するにはコストや交通規制などによる市民生活の利便性が低下するという懸念があります。
そこでドローンの導入によりコスト削減や、損傷状況の確認・診断をドローンによってスムーズに行うことで交通規制を行わずに済むので市民の利便性が向上します。
橋梁点検は5年で1億円を超えていたそうですが、ドローン導入によって費用削減や点検精度の向上ができるそうです。
【ドローン鳥獣害対策】長野県小谷村
小谷村では鳥獣害による作物被害が多くあったことから、2020年にリアルタイム情報配信システムと赤外線カメラ付きドローンを利用した野生鳥獣調査を実施しています。
これによりに詳細な場所の情報を特定できるため、捕獲や駆除ができるといいます。
【火災対応にドローン活用】神奈川県大和市
大和市消防本部では火災現場でドローンを活用しています。
上空から撮影することで効率的な消火活動の戦術を見つけだしたり、赤外線カメラの機能で火種の特定を行ったりします。
2022年4月時点での情報では、231名の隊員中ドローンを操作できる隊員が200名いるようです。
【ドローンによる買い物を提供】長野県伊那市
山間地域では高齢者が多く買い物困難者が増えています。
そんな課題を解決するために、自治体によるドローン物流サービス「ゆうあいマーケット」を開始しました。
注文から配達の流れとしては、午前11時までにテレビや電話などで欲しい商品を注文します。
注文された商品は、地元のスーパーなどでピックアップされ配送拠点でドローンに積み地域の公民館に運ばれます。
その後は、ボランティアの方が自宅まで商品を届ける流れとなっています。
ドローン利用時の懸念
上記でお伝えしたとおり、ドローンの利用の幅はどんどん広がっています。
それと同時に、課題があることにも注意しましょう。
課題①ドローン操縦者の育成
ドローンの高度な飛行「レベル4」を行うには、2022年12月5日に解禁された国家資格が必要になります。
そのためにはドローンの養成学校などに通う必要があるでしょう。
2022年12月現在、ドローンの養成学校は全国に約1,400あります。
ドローンの国家資格を持っていると、国土交通省への許可申請の簡素化や飛行ログシステムの利用が可能になります。
課題②連続飛行時間
ドローンの飛行時間は、100g未満のトイドローンであれば約10分ほど、本格的な産業用ドローンであれば約30分ほど飛行可能です。
ただしドローンに搭載するシステムや荷物の量などが重くなればその分、電池や燃料を消費するので、さらに飛行時間が短縮されると思われます。
今後は、ドローンの飛行時間を伸ばすことが課題になりそうです。
課題③通信状況の変化
目視外でも飛行可能なドローンは山間部や海、建物の中などさまざまな場所で活躍するでしょう。
その際に影響されるのが電波の問題です。
ドローンの周波数はWiFiと同じ2.4GHzなので、都市部など複数の電波が飛び交う場では操作に影響がでそうです。
山間部や海では単純に電波が届かないといった問題も出る可能性もあります。
総務省は、これらの問題を回避するため「干渉が起こらないよう技術的な条件を整備する」と発表はしています。
課題④悪天候時の運転
空を走るドローンは、風や雨や雪などに直接影響を受けます。
国土交通省のマニュアルには”風速5m/s以上の突風発生時には、即時飛行を中止”と記載があります。
雨の場合は、荷物が濡れたりバッテリーが故障したりと影響が出てくるでしょう。
また、雪が降っているとドローン自体に雪が積もり落下の恐れがあったり、着陸がうまくできなかったりするでしょう。
まとめ
自治体や企業などで活躍の場を広めつつあるドローンですが、まだ懸念される点はあります。
こうした懸念を理解しつつ、上手にドローンを活用しましょう。