今まで橋梁点検の仕事は、人間にとって危険を伴う仕事でした。
一つ間違えば事故にあう危険性もありますが、近年はドローンを活用することで、橋梁点検の危険性は少なくなりました。
そこで今回はドローンによる橋梁点検や関連する航空法について解説していきます。
橋梁点検について解説
近年はドローンの空撮技術が向上したことで、今までは人間がヘリコプターや飛行機からしていた空撮をドローンでも撮影できるように進歩しています。
人間が空撮しにくい映像撮影もドローンならできることがあります。
さらに現在ではドローンの空撮映像が進歩したことで、建築現場や被災地の状況、また橋梁点検もドローンで効率よく行うことができます。
橋梁の点検したい箇所の撮影を自動航行のプログラムを設定すれば高解像度の映像でその場にいかなくても点検が可能です。
ここからは、橋梁点検について橋梁の寿命や点検サイクルについて解説していきます。
橋梁の寿命はどれくらい?
橋梁の点検は重要な仕事になり、もし対策を行わなければ大きい事故が起きるケースがでてきます。
2013年の国土交通省が提示しているデータでは、2メートル以上の橋梁は国内に約70万件あり、そのうち約171,000件以上が建設してから50年経過している状況です。
このデータから橋梁の寿命は約50年はあることが理解できます。
しかし、そのなかでも軽微な損傷から大規模な損傷までありますので、人間の力で全国約70万件の橋梁点検をするのは難しいです。
そこで登場したのが、ドローンの空撮技術を活用した橋梁点検です。
定期的な点検をドローンで確認できれば、損傷が大きくなる前に修繕して、大規模な事故を未然に防ぐことが可能になります。
また定期的に損傷を修繕することで、橋梁自体の寿命も延ばすことができます。
点検サイクルについて
2014年に国土交通省は、5年に1回は橋梁の定期点検をすることにしています。
定期点検の目的は橋梁の寿命を延ばすことです。
2019年に国土交通省が発表した点検結果は、約7万件に損傷に対しての対策が必要なことが判明しています。
そのため、今後は損傷がでてくる橋梁が増加することを考え、更に橋梁点検をドローンの空撮技術と自動運転で効率化していくことが重要になります。
ドローン活用のメリット
ドローンでの空撮技術の向上により様々な業種で利用されることでしょう。
ここでは、橋梁点検作業にドローンを活用することでのメリットをご紹介します。
メリット1:効率よく短時間で安全に点検できること
通常人員による橋梁点検作業は、安全を重視しますので足場を組んだり橋梁点検車を使用します。
そのため、点検する場所を変更するたびに移動が必要になりますので時間がかかります。
また、点検作業をするときに橋梁から落ちたりと、人員による点検には常に事故のリスクがつきまといます。
ドローンによる橋梁点検なら、映像確認があるので事故リスクは少なくなります。
また、空撮も広範囲が可能になりますので点検作業も短時間で終了することができます。
メリット2:人件費が少ないこと
ドローンによる橋梁点検は橋梁の大きさにもよりますが、操縦する人員が1名いれば可能な点検場所も存在します。
通常の橋梁点検なら交通整理や場合により橋梁点検者も必要になりますので複数の人件費が必要です。
メリット3:発見しにくい損害箇所を逃さないこと
人員によっては橋梁点検でも多くの人手や時間を投入すれば、小さい損害箇所も見つけられる確立は高いです。
ただ、点検したい橋梁は国内に多くある中で効率良く点検しないといけません。
その点、ドローンによる橋梁点検なら、空撮技術と自動運転で人員の点検では見つけられない損害箇所も点検することが可能になります。
そのため、対策を早急にすることで橋梁の長期化を実現し、事故のリスクを未然に防ぐことができます。
ドローン活用のデメリット
橋梁点検作業にドローンを導入するデメリットもあります。
ドローン活用によるデメリットを3つ紹介します。
デメリット1:天候により点検できないことです。
ドローンは空中を飛行しますので、どうしても雨や風には弱いです。
そのため天候が良いときでないとドローンで橋梁点検できませんので、スケジュールがずれるときがあります。
デメリット2:打音による橋梁点検ができないこと
人員でする点検なら橋梁をハンマーなどで叩いて打音で損傷があるか確認できますが、ドローンは空撮映像のみで損傷を見極めなければいけません。
デメリット3:橋梁の場所によっては飛行できないこと
ドローンの飛行は航空法や小型無人機等飛行禁止法で規制されています。
そのため橋梁点検前に、事前にドローンが飛行可能かを確認する必要があります。
ドローンによる橋梁点検方法
ここでは、ドローンによる主な橋梁点検方法を2つ紹介していきます。
橋梁のひび割れ点検
ドローンには画像認証技術やAIを活用して、橋梁のひび割れを自動点検により確認することが可能です。
過去には人員を多く必要とする作業なため、時間と人件費が多く投入されていましたがドローンのおかげで解消されてきています。
橋梁の浮き点検作業
過去には、作業員が打音で点検して橋梁の浮きなどの劣化を見つけて、橋梁の損傷などを調査しておりました。
しかし、ドローンの赤外線カメラで浮き点検することで、橋梁の浮きを見つけることが可能になってきています。
ただ打音点検も重要な箇所には、まだまだ必要なケースも多いです。
ドローンによる橋梁点検では広範囲を点検できます。
しかし、打音点検はできませんので、重要な箇所だけを作業員の打音検査することで効率よく橋梁点検をすることができます。
ドローンによる橋梁点検の流れ
ドローンによる橋梁点検の流れは次のように行います。
まず最初にドローンの空撮技術を生かして、橋梁の広範囲を自動運転で点検する。
次に打音点検ができない重要箇所をベテランの作業員が点検する。
この2つの点検作業を組み合わせることにより、効率よくまた正確な橋梁点検をすることができます。
航空法について
ここからは、ドローンによる橋梁点検に関連する航空法について、概要や許可承認申請方法を紹介していきます。
規制
航空法では、ドローンによる飛行を原則として3つの場所で規制しています。
1:空港周辺の場所
航空法では空港上空を周辺地域も含めて禁止しています。
理由は飛行機の航行を乱してしまい、事故のリスクを防ぐためです。
ただ、国土交通大臣の許可があればドローンの飛行は可能になります。
2:地上から150メートル以上の空域
理由は1つ目と同じで飛行機の航行を邪魔するリスクがあるからです。
ただこちらも国土交通大臣の許可があれば、ドローンも飛行することができます。
3:人口が集中している場所
理由はドローンが落ちてしまったときに、人にぶつけてしまい怪我をさせたりする可能性があるためです。
こちらも事前に、国土交通大臣の許可があれば飛行することはできます。
人口集中地区について、国土地理院が発行している人口地区マップを活用して赤く示されている地区は、人口集中地区になりますので、注意が必要です。
橋梁の位置も事前確認して国土交通大臣の許可が下りれば、橋梁点検でドローン飛行は可能です。
許可承認申請方法
橋梁点検する位置を申請をしなければいけない場合には、国土交通大臣に申請をして許可が承認されなければいけません。
申請が下りるには、最低でも10日間くらいは必要になりますので、早めに申請することが大事です。
申請には2種類あり、個別申請と包括申請があります。
事前にドローンの飛行する航路や飛行する日時が決定しているなら個別申請をします。
まだ特定はできないけれど、ある程度航路や日時がわかるのであれば包括申請をします。
申請方式には4種類あり、申請書を郵送、窓口に持参する、オンライン申請、緊急の場合だけ電話・FAX・メールが可能になります。
まとめ
ここまで橋梁点検にドローンを活用する方法や関連する航空法について開設してきました。
近年はドローンだけでなくロボットやAIなど、進歩が速く、人間がリスクを負う仕事は全てカバーしてくれます。
ぜひこの記事を参考にドローンを有効に活用してみてください!