ドローンを飛行させる上で、最も大切な法律は「航空法」です。
インターネットでドローンについて調べると、必ずといっていいほど触れられるルールです。
実はもう一つ重要な法律があります。
それが今回の記事でご紹介する「小型無人機等飛行禁止法」です。
今回の記事では、小型無人機等飛行禁止法について詳しくお伝えしていきます。
法律が制定されたきっかけや、規制の内容を詳しく知ることにより、より安全にドローンを飛行させることができます。
記事の後半でも触れますが、小型無人機等飛行禁止法はかなり「流動的な法律」です。
いつも大丈夫な場所であったとしても、突然規制の対象となる可能性もあります。
ドローンを飛行させる方にとって、避けては通れないとても大切な法律です。
ぜひ一緒に学んでいただければ幸いです。
小型無人機等飛行禁止法とは?
小型無人機等飛行禁止法についての情報をお伝えしていきます。
正式名称は「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」です。
非常に長いタイトルの法律ですが、省略して小型無人機等飛行禁止法という名称で呼ばれています。
法律の名前からして想像すると、「国の重要な施設の上空を守る法律」ということが理解できます。
この法律を管轄しているのは警察庁になります。
小型無人機等飛行禁止法の制定のきっかけは?
小型無人機等飛行禁止法の制定は、2016年の「伊勢志摩サミット」がきっかけとなりました。
世界各国の首脳たちが集まる世界的な会議がサミットです。
サミットが行われている中、ドローンを活用したテロなど起きてしまうと大変です。
サミットが行われる場所が、航空法の規制の対象外であったらどうでしょう?
航空法で飛行が禁止されているエリアであれば、ドローンの飛行の中止を命じることができますが、禁止されていないエリアであれば、それができません。
サミットが行われている近くで怪しいドローンが飛んでいても、警察は指をくわえて見ているだけの状況が生まれます。
そのようなことが起こらないよう、伊勢志摩サミットをきっかけに条例が制定され、小型無人機等飛行禁止法が制定されました。
この流れが、重要な施設や要人を守るため、ドローンを飛行させている段階で強制的に効力を発することができる法律が作られた経緯です。
規制対象となるエリアについて
小型無人機等飛行禁止法では、重要施設、及び、その周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行が禁止されています。
警察庁のHPの言葉を引用すると
と表現されています。
規制対象のドローンは?
規制対象となる小型無人機は二種類指定されています。
①小型無人機
無人航空機(ラジコン飛行機など)、無人滑空機、無人回転翼航空機(ドローンなど)、無人飛行船など、この①で規制対象となっているのが、一般的に広く出回っているドローンのことです。
注意が必要なのは、200g未満の模型航空機(トイドローン)であっても、規制の対象となります。
最近のトイドローンは非常に性能がよく、飛行距離も数Kmほども飛行可能です。
航空法の規定では、200g未満のドローンは規制の対象外ですが、今回ご紹介している小型無人機等飛行禁止法では、重さに関係なく、全てのドローンが規制の対象ですので、注意が必要です。
②特定航空用機器
特定航空用機器とは、気球やハングライダー、パラグライダーなどのことをいいます。
これらの機器についても、小型無人機等飛行禁止法の規制の対象となります。
ドローンとは違いますが アクティビティとしても人気の高いものですので、知っておいて損はない情報です。
規制対象施設について
小型無人機等飛行禁止法の対象施設を列挙してみます。
これらの対象施設をざっと確認すると、何ら不思議はないと思われます。
確かに国の中枢を担う機関であったり、国を防衛する施設であったりと、とにかく重要な機関ばかりなのがわかります。
違反に対する警察官等による命令・措置
小型無人機等飛行禁止法に対する警察官等の命令や措置を簡単にご紹介します。
一つずつ解説していきます。
違反者に対して機器の退去その他の必要な措置をとることを命令することができる
規制の対象エリアにおいて、ドローンの飛行を中断させることができます。
またドローンを移動させたりなどの命令ができます。
小型無人機等の飛行の妨害や機器の破損・その他の必要な措置をとることができる
簡単にいうと、「壊しますよ?」ということです。
ドローンのコントローラ(プロポ)を奪って、緊急停止コマンドを入力することもできます。
またドローンに対して、飛行の妨害となるような電波を発信し、墜落させることもできます。
このように、かなり強い措置がとられる可能性があるということです。
命令違反の場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
先ほどご説明したように、対象施設の上空はレッドゾーンです。
イエローゾーンであれば、命令に従わなかった場合にこの罰則が適用となる可能性がでてきます。
しかし、レッドゾーンの場合は命令など関係なく罰則が適用されます。
規制対象が追加される特例について
規制対象施設についてはご紹介しましたが、規制対象が特例で追加になることがあるので注意が必要です。
規制対象が追加される特例について、代表的なものをご紹介します。
オリンピックなどのイベント時
オリンピックなどのビックイベントが行われると、会場周辺などのドローン飛行が禁止されます。
テレビのニュースや新聞でもドローン禁止の情報が伝えられますが、禁止となる法的根拠は小型無人機等飛行禁止法のことです。
冒頭でもお伝えしましたが、流動的に大きなイベントなどに対処できるのが、この法律の強みです。
ラグビーのワールドカップの際も、盛んに飛行禁止のエリアが追加されました。
ドローンを飛行させる方は、大きなイベントが行われる時には注意が必要です。
海外の要人が来日した時の適用について
大きなイベントの情報は取得しやすいと思います。
連日テレビや新聞で報道されますので、イベントが行われる期間や場所について注意ができます。
恐ろしいのは、「海外の要人が来日したとき」です。
大々的にニュースに流れることはないのですが、海外の偉い方が日本に来て、色々な施設を視察することがあります。
到着する空港はもちろん、視察先の施設、宿泊先などが、小型無人機等飛行禁止法の規制対象エリアに指定されることがあります。
ついうっかり飛行させてしまった場合は、気づかずにレッドゾーンだった、ということが起きかねません。
仕事でドローンを飛行させる方はもちろん、プライベートでドローンを楽しむ方も、注意しなければ警察のお世話になる可能性が出てきます。
情報の取得方法について
少し脅してしまうような情報ばかり流してしまいましたが、大切なのは情報収集です。
法律については「知らなかった」では済みません。
しっかりと情報収集して、落とし穴にはまらないようにしたいものです。
テレビのニュース、新聞の情報
まずは基本的な情報収集です。
テレビのニュースや新聞などのメディアの情報には、日頃よりアンテナを張っておきましょう。
大きなイベントはもちろん、海外の要人が来日するという情報が得られるかもしれません。
国土交通省HPの情報
テレビのニュースや新聞で情報を掴んだら、確認すべきなのは国土交通省のHPの情報です。
ドローンを飛行させるものとして、必ず覚えるべき習慣があります。
それは、「国土交通省 ドローン」というキーワードを検索する習慣です。
仕事でドローンを活用している方はもちろん、プライベートで飛行させる方も、日頃から検索する習慣をつけましょう。
国土交通省の過去の記事を見ていただくと、過去に行われた規制の情報などが出てきます。
数日から数週間など、流動的に規制エリアが追加されますので、国土交通省からの情報を検索する習慣をつけましょう。
飛行禁止の例外とは
ここまで、小型無人機等飛行禁止法について詳しく述べてきました。
規制対象のエリアであっても、管理者が認めている場合や警察からの許可が降りた場合は、飛行させることができます。
しかし、一般の方がこれらのエリア上空で飛行しようと許可申請を出しても、許可を得られない可能性が高いということを把握しておきましょう。
まとめ
今回は、小型無人機等飛行禁止法についてご紹介いたしました。
規制の対象となる施設や、警察官の措置を知ると、ドローンを安易に飛ばせなくなるのではないでしょうか。
そもそも海外ではドローンは軍事用に使われていることが多く、テロなどにも頻繁に使われます。
それほどドローンというものは、使い方によっては素晴らしいものにもなりますし、逆に命を奪いかねない危険なものとなります。
ドローンに関する重要な法律をご紹介しました。
しっかりと情報収集をして、より安全にドローンを飛行させたいものですね。