上空から撮影されたダイナミックな映像に憧れてドローンを購入してみたという人も多いでしょう。
「早速、操縦方法を覚えて飛ばしてみよう!」と思ったかもしれませんが、ドローンを飛ばす前に法規制についての確認をしなければなりません。
法で禁止された場所や方法でドローンを飛ばしてしまうと、罰則を受ける場合もあるので注意してください。
今回はドローンを飛ばす前に最低限チェックしておきたい、ドローン飛行に関連する法規制を解説していきます。
ドローンを飛ばす前に確認すべき5つの法規制
ドローンを飛ばす前に最低限確認しておくべき法規制は以下の5つが挙げられます。
「法律を1つ1つ覚えるのは大変そう…」「法律用語って頭に入ってこない…」と不安に思うかもしれませんが、条文を読み込む必要はなく、何が禁止されているのかというポイントだけ把握すれば十分です。
以下では、各法律の規制内容をタイプ別に分類してみたので、個別の法律をチェックする前に整理してみてください。
規制の種類 | 該当する法律 |
---|---|
ドローンの飛行場所、飛行方法に関する規制 | ・航空法 ・小型無人機等飛行禁止法 ・道路交通法 |
ドローンの無線通信に関する規制 | 電波法 |
ドローンのカメラ撮影に関する規制 | 個人情報保護法 |
では、ドローン飛行に関連する個別の法律について、どのような規制が課されているのか詳しくみていきましょう。
(改正)航空法
(改正)航空法は別名「ドローン規制法」とも呼ばれている法律で、ドローンの飛行が禁止される場所や飛行方法が規定されています。
規制の主な内容 | ドローン飛行が禁止される場所や方法を規定 |
対象の機体 | 200g以上の機体 |
飛行が禁止される場所/方法 | 【場所】 ・空港周辺の空域 ・150m以上の空域 ・人口集中地域(国土地理院のサイトを参照) 【方法】 ・夜間飛行 ・目視外飛行 ・人や物から30m未満の距離での飛行 ・イベント上空での飛行 ・危険物を輸送しながらの飛行 ・機体から物体を投下する |
禁止エリアで飛行するには? | 国土交通省や飛行予定地の許可を取得する |
法規制の対象は200g以上の機体で、いわゆるトイドローンは対象外です。
私有地の中で飛行させる場合でも上記に該当する場所や方法でドローンを飛ばすことは禁止されています。
飛行禁止場所でドローンを飛ばすには、国土交通省や飛行予定地の管理者から許可を取得しなければなりません。
小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法は、航空法と同様にドローンの飛行を禁止する場所を規定した法律なのですが、対象場所を国の重要施設に絞っているのが特徴です。
規制の主な内容 | 国の重要施設付近でのドローン飛行を禁止 |
対象の機体 | 全ての機体 |
飛行が禁止される場所 | ・国の重要な施設 ・対象外国公館等 ・対象防衛関係施設 ・対象空港 ・対象原子力事業所 ・大会会場や空港など(※特措法にて指定) |
禁止エリアで飛行するには? | ・対象施設の管理者や土地所有者の許可や同意を取得 ・国または地方公共団体の業務を実施するための飛行である場合 |
国会議事堂や最高裁判所、皇居といった国の重要施設などでは、ドローンの飛行が禁止されています。
さらに、最近では東京オリンピックの開催に併せて、大会会場などでのドローンの飛行を禁止する特措法も施行されました。
こちらの法律は機体の重量に関わらず適用されるので注意してください。
道路交通法
道路交通法は、道路上の安全かつ円滑な利用を目的とした法律です。
規制の主な内容 | 道路上で禁止される行為について規定 |
対象の機体 | 全ての機体 |
飛行が禁止される場所 | ・道路上での離着陸 ・道路上での飛行 |
禁止エリアで飛行するには? | 管轄の警察署長の許可を取得する |
道路交通法は直接的にドローンに関する規制が記載されているわけではありませんが、道路での危険を防止する目的で以下が禁止行為に該当しています。
- 道路上での離着陸
- 道路上での飛行
歩道や車道といった「道路」でこのような行為をしてはならないので覚えておきましょう。
電波法
電波法では、ドローンのコントローラーと機体を繋ぐための無線通信に関する規制が扱われています。
規制の主な内容 | ドローンで使われる無線通信についての規定 |
対象の機体 | 全ての機体 |
禁止される行為 | ・禁止された周波数帯を無許可/無資格で使用 ・技適マークの付いていない機体の飛行 |
注意すべきポイント | 海外製のドローンは日本の法規制に合致していない可能性がある |
主なポイントとしては「周波数帯」と「技適マーク」の2点です。
一般的なドローンでは「2.4GHz帯」の電波が使用されており、使うのに許可や資格などは不要なのですが、FPV機能などで使われる「5.8GHz帯」の電波を扱う場合には以下の条件を満たさなければなりません。
- 「陸上特殊無線技士(3級以上)」を取得
- 無線局の開局手続きを行う
また、「技適マーク」の付いていないドローンを使うのも禁止されています。
特に海外製のドローンは日本の法規制に合わせて設計されておらず、技適マークが付いていない可能性もあるので注意してください。
個人情報保護法
個人情報保護法は、ドローンを使った空撮を行う際に注意すべき法律です。
規制の主な内容 | ドローンによるカメラ撮影に関する規制 |
対象の機体 | 全ての機体 |
禁止される行為 | プライバシーや肖像権を侵害するような行為の禁止 |
注意すべきポイント | 第三者の顔や車のナンバーといった個人情報が映り込んだ 画像や動画を無許可でアップロードしない |
ドローンで撮影した画像や動画の中に、第三者の顔や車のナンバーといった個人が特定できる情報が映り込んでいた場合、無許可でネット上にアップロードすると、プライバシーや肖像権の侵害に該当してしまいます。
映り込んだ人などの許可を得たり、ぼかしを入れたりといった配慮を忘れないようにしてください。
都道府県や市町村の条例も必ずチェックする
国が定める法律だけでなく、お住まいの都道府県や市町村が制定する条例もチェックしておきましょう。
公園や公共施設など具体的な場所がドローンの飛行禁止場所として定められているケースがあります。
ドローンを飛ばす前に飛行予定場所が法律や条例で禁止されていないかを必ず確認してください。
まとめ
ドローン飛行に関する規制法について解説しました。
法規制について何も知らないままドローンを飛ばしてしまうと、違反によって罰則を受けたり、逮捕されたりする可能性もあるので注意しましょう。
ポイントさえ抑えておけば覚えるべき内容はそれほど多くないので、今回の記事を参考にしながら、飛行が許可された場所でドローンを楽しんでみてください。