農業にドローンを活用することは効率化による人手不足の解消や、作業時間も削減できます。
農業の高齢化にも対応できるでしょう。
そんな農業ドローンですが、使い方もいろいろでどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
活用例を挙げて説明します。
スマート農業には農業ドローンは不可欠
スマート農業はが農林水産局が推奨しているロボット技術やICTを利用して、省力化や高品質の農業を進める事業です。
その中で省力化やセンシングデータの活用に農業用ドローンが不可欠になっています。
農業に使えるドローンの種類は
農業ドローンの一番大きな目的は、人手のかかる農薬、肥料の散布をすることです。
農業ドローンは農薬・肥料の散布機能を一番の目的としたドローンが多いです。
次に収穫物をドローンで運搬できる機能のドローンやカメラやセンサーで田畑を撮影してデータ化する農業ドローンの3種類の農業ドローンがあります。
農業ドローンを使うメリット
農業ドローンを利用する場合のメリットは下記のように多くあります。
農薬・肥料の散布作業の省力化と均一化
農業用ドローンを使う最大のメリットは農薬・肥料の散布の効率化です。作物を育てるために
農薬の散布や肥料の散布は一番大事なことですが、高齢化か進む中十分ではない場合もあります。]
結果十分に育っていない作物ができます。
ドローンを使って均一に肥料の散布、農薬の散布ができるようになります。
農薬の散布
ドローンを使って上空から均一に散布できます。
自動でコースを設定しておけば田の隅々まで欠けることなく、満遍なく散布ができます。
更に散布にかかる時間は人が散布する場合の5分の1と言われています。
散布時間の短縮と散布の均一化ができるので、農薬散布も苦になりません。
肥料の散布
肥料の散布で注意しなければならないのは、作物を植える予定の場所に均一に散布することです。
また肥料は重くて高齢者には苦手で多くを散布できません。
ドローンを使えば田に均一に散布できます。散布時間も大幅に短縮できて効率があがります。
重い収穫物も運べる
田畑で収穫した作物を運ぶのは大変です。
車の入れない場所や、傾斜のある田畑から作物をコンテナで運ぶのに苦労しますが、農業ドローンで運搬することがてきます。
ただ空中運搬できる能力もドローンで異なりますので、確認が必要です。
データを管理できる
農業ドローンで田を撮影して、作物の生育状況や病虫害の被害状況をデータできます。
それによって肥料や農薬の散布を追加したりして品質の向上が見込めます。
農業ドローンの注意点
農業とローンを使えばメリットは多くありますが、注意点も以下のようにあります。
農業ドローンの購入はコストがかかる
農業用ドローンの利用には初期費用として機体購入費がかかります。
5Lタンクのドローンで50万、10Lタンクのドローンは80万~200万になります。
購入が厳し人は共同購入して利用するケースもあります。
農薬の適期防除で毎年の害虫発生が少なくなるとか、農薬散布の省力化などでコストダウンできますが、導入には農場の広さも考慮に入れて検討が必要です。
ドローンを使うには許可申請がいる
ドローンを操縦するのに免許や資格はいりません。
ドローンの操作を操作するためのスクールで卒業時に発行される認定資格証などは、第3者にドローンの知識や技術を習得していることを示す証明書です。
農業用ドローンを使って農薬散布をする場合は事前に国土交通省への許可・申請が必要です。
申請は散布予定日の少なくても10開庁日までに申請が必要です。主な資料は下記の通りです。
- 無人航空機の飛行に関する許可・申請書
- ドローン機体の機能・性能に関する基準適合確認書
- 操縦者の旅行履歴・知識・能力確認書
国土交通省のホームページより申請方法の確認から申請書のダウンロードまでできます。
農業ドローンの活用事例
農業用ドローンの活用はますます増加しています。
ドローンによる農薬散布は農林水産省の令和3年の目標は100万haです。
令和2年は約12万haで令和元年の約6.5万から約2倍に拡大しています。
農薬散布用ドローンの販売数は令和元年で約1,922台から令和2年で約5,600台と3倍に増加しています。
農薬散布ドローンの活用方法は以下のとおりです。
農薬散布
撮影用ドローンで撮影した画像を分析して、雑草の発生場所を確認、ピンポイントで農薬用ドローンで農薬を散布できます。
作業時間も動力散布機に比べて50~75%削減できます。
またピンポイントで散布できるので散布量を動力散布機と比較して30~50%削減できます。
肥料散布
撮影用ドローンで発育不良な場所を特定して、肥料をピンポイントで散布します。
これにより動力散布機に比べて20~40%の散布量を削減します。
また作業時間も50~75%も削減できます。
農業用ドローンのピンポイントの追肥で収量、品質を抑え、生産量が安定します。
播種
ドローンを使用して播種もできます。
水稲による実験ではコーティング種子の播種は10aで0.82hでできます。
通常の田植え作業は4.05h/10aかかっていますので作業時間はドローン播種では80%削減できます。
受粉
花粉を混ぜた溶液をドローンで散布することで受粉の作業時間を削減できます。
なしの木に受粉に10a(約30本)に一日かかっていたのをドローンで約5分で完了します。
農産物運搬
高齢化が進む農業において問題になるのは、生産物の運搬です。
農産物を入れたコンテナをドローンで運ぶ事で省力化になります。
また傾斜のある農園の生産物を運搬するのに株式会社Skydriveのカーゴドローンは山で収穫したみかんなどを1回で30kgの生産物を運搬できます。
鳥獣被害対策
赤外線カメラを搭載したドローンを夜間に飛行させて、有害鳥獣の生息状況を確認できます。
それにより罠の設置や、防除網の設置にも役に立ちます。
圃場センシング
ドローンに搭載したカメラで圃場を撮影して、作物の生育状態や病害虫の発生が確認できます。
成長不足の所には肥料を追加、病害虫には早期発見で被害の拡大を防げます。
農業ドローンの選び方
農業ドローンを選ぶときのポイントを紹介します。
ひとつずつ解説していきます。
用途に合わせて選ぶ
農業ドローンを利用したい目的に合わせて使える農業ドローンを選びましょう。
農薬散布ドローン
ドローンを使って農薬散布には、タンクの容量は重要です。
散布面積が0.5ha程度は価格の安いコンパクトな5Lタンクでもできますが、1ha以上の場合は10Lがおすすめです。
タンク容量の大きいドローンは16L品、30L品もありますが、価格も高く200万近くなります。
農薬を散布したい面積と散布量を確認して最適のドローンを選びましょう。
液剤以外に粒剤・肥料・豆つぶ剤の場合はタンクを取り替えて散布できます。
タンクは別途購入する必要がありますが、薬剤を1~10kgの任意の量で散布ができます。
以外にドローンを使ってのお米の播種や農作物の受粉は全国で試験段階です。
お米の播種ではドローンを使って種を散布したところ、収穫高は他の田んぼと変わらなかったとのことで、今後のドローンの活用が期待されます。
農作物等の運搬にドローン
高齢化が進み労働力不足の中、ドローンを使って収穫物の運搬ができます。
大型ドローンのサイトテック製「KATANA1750」は最大50kgまでの搬送ができ、農薬散布もタンクユニットをつけることでできます。
今後運搬に特化した農業用ドローンが登場してくる日も近いと思われます。
農作物の生育状態を可視化できるセンシングドローン
RGBカメラ以外に幾つかのセンサーをもつドローンで空中撮影して、通常の画像であるRGB画像と植生の分布状況や活性度を表すNDVI画像で農作物の生育状態がわかります。
農作物の管理を可視化することで作物を適切に管理でき、収穫量や品質の向上が見込めます。
参考にDLJの「P4 MULTISPECTRAL」は6つのセンサーをもつリモートセンシング用ドローンで、価格は85万円となっています。
農薬散布にはタンク容量と飛行時間で選ぶ
ドローンを使って農薬散布が目的ならば、タンクの容量は重要です。
散布面積が10haまでは価格の安い5Lタンクでもできますが、8ha~10ha以上の場合は10Lがおすすめです。
タンク容量の大きいドローンは16L品がありますが、価格も高く200万以上になります。
農薬を散布したい面積と散布量を確認して最適のドローンを選びましょう。
農薬散布用ドローンには飛行時間もチェックしておきましょう。
特に広い範囲に農薬を散布する場合は飛行時間が短いと散布を終えるまでに何度もバッテリーを交換する必要がでてきます。
一般的にドローンの飛行時間は約10分です。
最長で約30分前後が市場にでているドローンの飛行時間です。
農薬散布を行う場合の農業ドローンには20分以上の飛行時間の目安とするのが良いです。
農業ドローンの主なメーカーと製品
日本国内のドローンメーカーは増加傾向にあります。
その中で有名なメーカーと農業用ドローンを紹介します。
DJI
DJIは中国メーカーでドローンのシェアは中国国内で高いものがあります。
2006年設立で2015年より産業用ドローンを生産販売しています。
農薬散布用ドローンとして8Lタンク(AGRAS T10)と30Lタンク(AGRAS T30)の大容量のドローンを2021年10月より販売しています。
本体価格はT10は120万とT30は170万となっています。
粒剤散布量はT30は最大40kgと1分あたり20kg以上で肥料を効率良く散布ができます。
マゼックス
2017年創業の東大阪の産業用ドローンの製造販売会社です。
農薬散布・防除・運搬の産業ドローンの納入実績は国内トップクラスです。
農業用として低コストの5Lドローン(飛助mini 55万~63万)と10Lドローン(飛助MG/DX 84万~90万)があり、運搬用にはウインチにより最大8kgの荷物を運ぶドローン(森飛)もあります。
サイトテック
サイトテックは2006年設立の山梨県の会社で、業務用のドローンの企画・開発・製造・販売とセミナー事業も手掛けています。
活動分野は林業・農業・輸送分野で活躍するドローンを手広く販売しています。
農業ドローンとしてはユニットの取り換えで液体散布と顆粒散布ができます。
アタッチメントを変えてコンテナなどの40kgの搬送もできます。
1台で多様な使い方ができるドローン(YOROI6S1750F)で農作業を助けます。
クボタ
創業181年の日本の農機具を製造販売するクボタも農業ドローンがあります。
クボタの農業ドローンは10Lタンクで自動散布ができる、薬剤と粒剤の散布のモデル(MG-1SAK 165万)やタンク容量を16Lに増量したモデル(T-20K 204万)があります。
すべてDJIのOEM商品ですが、クボタの農協等の販売ルートで売り上げを伸ばしています。
ヤンマー
トラクターなどの農機械を取り扱うヤンマーの農業ドローンは薬剤8Lタンク、粒剤タンク12Lの小規模農家用(T10 126万5000円)と薬剤タンク30L、粒剤タンク40Lの大規模農家用(T30 169万7300円)の2モデルがあります。
ヤンマーはDJIの代理店となっていますので製品はDJIのドローンです。
ヤンマーの農機と合わせてスマート農業へ展開をしています。
ヤマハ発動機
産業用無人ヘリコプターの開発・散布事業を通じて開発されたヤマハのドローンです。
2重反転ローターで前後進でもむらなく散布ができます。
10Lのタンクでの薬剤散布を10Lの粒剤散布に変更できるドローン(YMR-08 275万4000円)があります。
まとめ
いかがでしたか。高齢化が進む農業でスマート農業に進んでいますが、その中で農業ドローンの活用が不可欠になっています。
農業において省力化と効率化でドローンの活用が進んでいます。
まだまたコストがかかる農業ドローンですが、多くのメリットがあり採用したい人も多くいます。
農業ドローンで活用事例とメリットとデメリットを紹介しましたので農業ドローンを検討する時の参考にしてください。