「ドローンを使った仕事に就職したい」 「ドローンで空撮を楽しみたい」など
近年、ドローンに対しての興味が世界的に広がりつつあります。
「どの講習を受けるのが一番いいのだろう?」
と、ドローンの操縦免許を取得しようか迷っている人が増えてきています。
今回は講習会についてまとめましたので、この記事を参考に資格取得を目指しましょう。
急増するドローン講習会、どれを選べばいいの?
ドローンの操縦方法が学べるドローン講習会やスクールが急増しています。
航空局ホームページに掲載されている「無人航空機の操縦者に対する講習等を実施する団体」は、2021年1月時点で、1,218団体になりました。
初公表した2017年の43団体から、わずか5年間で28倍に急増しました。
受講者にとっては、手っ取り早くドローンの知識が得られるというメリットもありますが、一方で講習会のカリキュラムや費用がわかりにくいというデメリットもあります。
国家資格がないために、ドローン講習会の参入障壁が低い
2022年1月現在、ドローンの国家資格がないことから、ドローンの資格取得プログラムの内容にもばらつきがあります。
たとえば、基礎知識の講習だけで飛行訓練がない、飛行訓練のときのインストラクターの人数、ドローン本体の貸し出しの有無、オプション料金が高いなど、講習会のWebサイトを見ただけではわかりにくいものもあります。
そのため、うっかり契約してしまい、高額料金を請求されたというトラブルも報告されています。
費用に見合わないドローン講習会もある
ドローン講習会の平均的な費用は、20万円〜40万円といわれています。
もちろん、費用に見合うカリキュラムを提供している講習会もありますが、そうでないところもあります。
目的に合った比較的安価な講習会を選ぶには、どのようにすればよいのでしょうか。
失敗しないドローン講習会の選び方、チェックポイント
ドローンの講習会を受講するにあたり、必要なチェックポイントを挙げてみました。
無料講習会があるか? | ・講習会によっては、無料講習会があります。
・カリキュラム、認定制度、費用など、不明な点を、事前に確認できます。 |
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無料のオンライン講習会があるか? | ・無料のオンライン講習会を行っているところもあります。
・オンラインで参加できるので、講習会に出向く手間も省けます。 |
無理なく通える立地になっているか? | ・通いやすい立地になっているかどうか、確認しましょう。 |
国土交通省で認定されているか? | ・国土交通省に認定されていると、国家ライセンス制になったときに、学科や実技が免除される可能性があります。 |
どのような資格が取得できるのか? | ・ドローンの民間資格にはさまざまな種類があります。
・どのような資格が取得できるのか、確認しましょう。 |
費用は適切か? | ・カリキュラムに対して、費用が高すぎないかを確認しましょう。
・入会金、年会費、オプション料金、資格の更新手数料についても確認しましょう。 |
少人数制度になっているか? | ・インストラクター1人につき受講生が多すぎないか確認しましょう。 |
技能実習があるか? | ・技能実習も学べるかどうかを確認しましょう。
・技能実習の講座数が少なすぎないか、確認しましょう。 |
シミュレーターに力を入れているか? | ・ドローンの墜落や損傷の危険性がないシミュレーターはよい飛行訓練になります。
・シミュレーター講習があるかどうか確認しましょう。 |
ドローンの貸し出し制度はあるか? | ・ドローンを自分で用意しなけれならない講習もあります。
・ドローン本体の貸出制度があるかどうか確認しましょう。 |
目的に合ったドローン講習会の選び方
講習会を選ぶチェックポイントについて解説しましたが、自分の目的に合っていなければ、意味がありません。自分の目的に合ったドローン講習会の選び方について解説します。
講習会に参加する目的を明確にする
講習会を受ける目的は、人によって異なります。まず自分が何のために講習を受けるのか、目的をはっきりさせることが大切です。
たとえば、このような目的が考えられます。
- ドローンを操縦する仕事に就くので、飛行訓練を受けたい。
- ドローンを趣味で操縦しているが、独学なので、正しい知識を身につけたい。
- ドローンの操縦に挑戦したいので、正しい知識をつけたい。
目的によって講習会の選び方も異なりますので、まずは目的をはっきりさせることが必要です。
目的に合った講習会をいくつかリストアップする
自分の目的がはっきりしたら、目的に合う講習会をいくつかリストアップしましょう。
3~5つくらいリストアップした講習会の中から、前述のチェックリストを利用して、最適なものを選択しましょう。
講習会の評判、口コミを確認する
講習会のWebサイトには良いことしか書かれていません。講習会の実際の評判を知るには、口コミサイトも確認しましょう。
もしも、口コミに悪いことが書かれていれば実際に講習会に問い合わせてみるなりして、不明な点を解決しておきましょう。
講習会で身につく知識は?
講習会では、ドローンの操縦に必要な知識を学ぶことができます。
- 航空法
- 小型無人機等飛行禁止法
- 電波法
- 道路交通法
- 条例
スクールによっては実技演習があるので、操縦実技も身につきます。
講習会に参加するメリットは?
ドローンの講習会に参加すると、次のようなメリットがあります。
- 法規制や安全知識を学べる
- 国土交通省の飛行許可申請で手間を省ける
- インストラクターから操縦技術や知識を学べる
- 操縦技術の証明書になり社会的な信頼を得られる
- 保険などの割引制度がある
- 国家試験を受験するときに、学科や実技試験が免除される可能性がある
講習会ではどのような資格が取得できるの?
講習会を受けた後、試験を受けることによって、民間の認定資格が取得できるものもあります。講習会を受ける前に、どのような資格が取得できるのか、Webサイトで確認しましょう。講習会で取得できる有名な民間の認定資格は、次のとおりです。
- 無人航空従事者試験(ドローン検定)
- DJI CAMP認定資格
- JUIDA認定資格
- DPA認定資格
それぞれの資格には特徴があり、費用も異なります。
自分の目的に合った資格が取得できる講習を選びましょう。
無人航空従事者試験(ドローン検定)
民間の認定資格の中でも、認定者数がもっとも多いのが「ドローン検定」です。
ドローン検定は筆記試験のみで、1級から4級まであります。
ドローン検定は講習会に参加しなくても受験できますが、独学が難しい人は講習会に参加してから受験するのがよいでしょう。
ほかの資格に比べて費用が安いのも特徴です。
ドローン検定は、無人航空機を扱う従事者の知識レベルを評価し、その資質向上と周囲の方への理解を広めることを目的としています。
試験の内容は用語や機体の構造といった基礎知識から、飛行に関する特性、電気電子工学、航空力学、気象学、関連法規です。
受験料は級ごとに異なります。受験料のほかに「ドローンの教科書 標準テキスト」(3級と4級に対応)、「ドローンの教科書 上級テキスト」(2級対応)を、必要に応じて購入する必要があります。販売価格は、それぞれ2,420円(税込)です。
級 | 受験資格 | 受験料(税込) |
---|---|---|
1級 | ドローン検定協会主催ドローン検定2級取得者 | 18,300円 |
2級 | ドローン検定協会主催ドローン検定3級取得者 | 12,200円 |
3級 | 誰でも受験できます | 5,600円 |
4級 | 誰でも受験できます | 3,000円 |
ドローン検定は筆記試験だけですが、ドローン検定協会が全国に展開する「ドローン教習所」では、実機訓練も含む「ドローン操縦士養成講習」を実施しています。
ドローン教習所の受講内容
座学1
ドローンに関する法令や、ドローンを安全に飛行させるための知識を深めるために4時限の座学を行います。本講習を修了すると「無人航空従事者試験3級」も認定され、合格証が郵送されます。ドローン検定に合格している場合は、座学1が免除されます。
座学2
ドローンの点検項目や点検方法、機体に備わっている安全機能、許可承認申請の方法について1時限の座学を行います。
※ドローン検定の合格者は座学1が免除され、座学2からスタートします。
シミュレーター訓練
初心者が操縦技術を身につけられるようにシミュレーターを使って訓練を行います。
シミュレーターでは、ドローン破損や墜落の危険性がないため、初心者でも効率的に飛行訓練ができます。シミュレーター訓練時間はドローン教習所によって異なります。
実機訓練
天気に影響されない屋内にて実物のドローンを使って飛行訓練を行います。
実機訓練時間はドローン教習所によって異なります。
修了試験(技能)
ドローンの基本的な操縦技術が習得できているかを確かめる、実機を使った技能試験です。
合格
修了試験に合格すると「ドローン操縦士」としての資格が認定されます。この修了認定証によって、国土交通省への許可承認申請時に書類の一部を簡素化できます。
受講料は次のとおりです。スクールによっては、入学金が別途かかる場合があります。
項目 | 受講料 |
---|---|
座学 (1時限あたり) | 5,500円 |
シミュレーター(訓練1時限あたり) | 5,500円 |
実機訓練(1時限あたり) | 13,200円 |
修了試験 | 8,800円 |
ドローン検定費用とテキスト代を合計すると、およそ2万円になります。ドローン教習所の料金を加えても、20万円以下で収まる可能性があります。
DJI CAMP
DJI CAMP(ディー・ジェイ・アイ・キャンプ)は、中国の大手ドローンメーカーDJIの日本法人が主催する民間資格です。
DJI機体に特化しているという点で、ほかの民間資格と異なります。DJI機体の正しい知識と操縦方法、飛行モラルについて認定試験を行っています。
「DJI CAMPスペシャリスト認定講座」では、2日間にわたる座学講義、筆記試験、実技試験が行われます。
受講対象は、10時間以上の飛行経験がある操縦者です。
受講費用は、5万5,000円~11万円(税込)です。
キャンパスによって異なるため、受講前にDJI CAMPの開催概要を確認しましょう。
座学で使われるテキストも、受講前に購入する必要があります。DJI CAMP技能認定専用テキストは、3,300円(税込)です。
2日間の座学講義、筆記試験、実技試験を受講および技能テスト合格後に、「DJI CAMPスペシャリスト認定証」が発行されます。認定証の発行には、別途16,500円(税込)が必要です。有効期限は2年です。
これらの費用をすべて合計すると、およそ24万円になります。
JUIDA
JUIDA(ジュイダ:Japan UAS Industrial Development Association)認定資格は、一般社団法人日本UAS産業振興協議会が認定しているドローンの資格です。
ほかの民間の認定資格に比べて、ドローンを安全に運行するために必要な知識が身につくといわれています。
JUIDA認定スクールには、2つのコースがあります。
- 操縦技能証明証取得コース
- 安全運航管理者証明証取得コース
スクールの受講期間は3〜4日のところが多いようです。
費用はスクールによって異なりますが、20万円〜30万円です。スクール費用とは別に、会費や資格発行費用がかかります。証明証の有効期限は2年で、更新手続きが必要です。
JUIDA入会費用(準会員) | 5,000円(非課税) |
年会費(準会員) | 5,000円(非課税) |
操縦技能証明資格発行費用 | 新規 22,000円(税込)更新 7,700円(税込) |
安全運航管理者証明資格発行費用 | 新規 16,500円(税込)更新 3,000円(税込) |
これらの費用をすべて合計すると、およそ33万円になります。
DPA
DPA(ディーパ)認定資格は、一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)が認定している資格です。
DPAのカリキュラムは、産業利用を前提とした操縦技術を取得できるのが特徴で、国土交通省の管理団体認定基準を順守して作成されたプログラムになっています。
ほかの民間の認定資格に比べて、実技に重点を置いた資格といわれています。
DPAの認定資格には、2種類あります。
- ドローン操縦士回転翼3級(初心者向け)
- ドローン操縦士回転翼3級 インストラクター(上級者向け)
受講料は、スクールによって異なりますが、20万円~30万円です。
操縦士、インストラクターともに、認定資格を取得した場合、初回に2万5,000円、2年ごとの更新に1万2,000円の費用が認定料としてかかります。
これらの費用をすべて合計すると、およそ33万円になります。
最も費用の安いドローン資格は?
最も費用が安いのがドローン検定です。
お試しでドローンの民間資格を取ってみたいと思っている方は、ドローン検定チャレンジを行うのがよさそうです。
講習会に参加しても現場で通用しない?
ドローンの講習会は、2日から5日というところが多いようです。
しかし、講習会に参加したからといってすぐに現場で通用するとは限りません。
講習会はあくまでドローンの基礎知識を学ぶ場であって、現場で通用するレベルになるには、実践を積んでいくしかありません。
講習会は基礎的な知識や技能を学ぶ場としてとらえ、実践的な技能は現場で学ぶというふうに考えておくとよいでしょう。
講習会に参加しても仕事があるとは限らない?
講習会に参加したとしても、ドローン関係の仕事にすぐに就けるというわけではありません。
実際に空撮カメラマンなどのエンターテイメント分野では希望者が多く、飽和状態といわれています。
ドローン関係の仕事を希望するのであれば、たとえば、インフラ設備、物流、土木建築、ドローンメーカーなどの、ドローンを扱っている企業に就職するのが早道でしょう。
講習会を受講するのは、2022年に始まるドローンの国家資格制度が始まってからでも遅くない
結論からいうと講習会を受けるのは、2022年12月に始まるドローンの国家資格制度が始まってからでも遅くありません。
なぜなら、国土交通省がドローンの国家資格制度が始まったあと、民間のスクールで国家資格に必要な講習を受けられるようにすると発表しているからです。
ドローンの国家資格制度の内容が明らかになれば、講習会のカリキュラムも、改定されることが考えられます。
新しいカリキュラムになってから、自分の目的に合った講習会を選択して、受講するのがよいでしょう。
ドローンの国家資格は2つ
2022年12月から導入が予定されているドローン操縦士の国家資格は、2種類となっています。
自分が必要とする国家資格に合わせた講習会を選ぶのがポイントとなりそうです。
一等資格(第三者上空飛行に対応)
第三者上空飛行に対応し、レベル4におけるドローン運用ができます。都市部など人のいる地域で、ドローン操縦士の目の届かないところまでドローンを飛ばすには、この資格が必須となります。
レベル4飛行を行うには、国家資格を保有しているだけでは不十分で、第一種機体認証を受けているなどの条件があります。
- 第一種機体認証を受けていること
- 適切な運行管理体制を設けていること
- 安全確保措置を講じること
- 飛行ごとの許可・承認が必要
二等資格(第三者上空以外での飛行に対応)
これまで許可・承認を必要としていた第三者上空以外での飛行に対応します。二等資格を取得した操縦士が、機体認証を受けたドローンを飛行させる場合には、これまで必要だった許可・承認が不要になります。
一方、二等資格を有していない場合は、許可・承認を必要とする第三者上空以外での飛行を行うときに、これまでどおり許可・承認が必要です。
一等資格と二等資格の取得費用については明らかになっていませんが、国が指定する民間の期間で必要な講習を受講し、筆記と実技の試験に合格した後、国土交通省から、免許証が交付されます。年齢制限、視力や色覚、聴力などの検査もあります。免許の有効期限は3年です。
まとめ
さまざまなドローンの講習会が開催されていますが、2022年から導入される国家資格の内容に合わせたカリキュラムが出そろってから、受講するのがよさそうです。